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マイクロン決算、売上5,423億ドルで予想超え|キオクシアなど日本の半導体株への波及を図解

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MICRON TECHNOLOGY|2026年6〜8月期決算|10月1日 日本時間早朝発表

マイクロン決算、売上5,423億ドルで予想超え。日本の半導体株にはどう効くか

米メモリー大手マイクロン・テクノロジーの6〜8月期決算は、売上高・利益・次期見通しのすべてが市場予想を上回りました。NAND価格は約30%上昇、来期の設備投資は500億ドル超です。この記事では決算の中身を整理したうえで、キオクシアや製造装置株など日本の関連銘柄への波及経路を読み解きます。

売上高(前年比)5,423億ドル(+379%)
調整後EPS33.42ドル
粗利率87.0%
次期売上ガイダンス6,150億ドル

この記事の要点

  • ✓6〜8月期の売上高は5,423億ドルで、市場予想を約6.2%上回りました。前年同期の約4.8倍です。
  • ✓次期(9〜11月期)の売上ガイダンスは6,150億ドル。市場予想の5,700億ドルを約7.9%上回りました。
  • ✓日本株への波及経路は3本あります。NAND価格の上昇はキオクシアに、設備投資の拡大は製造装置株に、HBMの需給ひっ迫は後工程の装置・テスター株に効きます。
  • ✓一方で、時間外取引の株価は小動きにとどまりました。好決算はかなり織り込まれており、「予想を超えたかどうか」より「どこまで続くか」が問われる局面です。

01決算の中身:売上・利益・見通しの「3つとも」予想超え

マイクロンが米国時間9月30日の引け後に発表した2026年6〜8月期(2026年度第4四半期)の売上高は5,423億ドルでした。6月時点の会社予想(5,000億ドル±10億ドル)の上限も超えています。特殊要因を除いた調整後EPS(1株あたり利益)は33.42ドルで、市場予想の31.61ドルを約5.7%上回りました。

マイクロン決算:実績と次期ガイダンスはいずれも市場予想を上回った売上高 実績5,423億ドル(市場予想5,107億ドル)、調整後EPS 実績33.42ドル(市場予想31.61ドル)、次期売上ガイダンス6,150億ドル(市場予想5,700億ドル)。売上高(6〜8月期)(億ドル)会社予想5,000市場予想5,107実績5,423調整後EPS(6〜8月期)(ドル)会社予想31.00市場予想31.61実績33.42次期(9〜11月期)売上ガイダンス(億ドル)市場予想5,700会社ガイダンス6,150市場予想はBigGo Finance集計、会社予想は6/24発表の中央値。出所:マイクロン決算発表(2026/9/30)
マイクロン決算:実績と次期ガイダンスはいずれも市場予想を上回った売上高 実績5,423億ドル(市場予想5,107億ドル)、調整後EPS 実績33.42ドル(市場予想31.61ドル)、次期売上ガイダンス6,150億ドル(市場予想5,700億ドル)。売上高(6〜8月期)(億ドル)会社予想5,000市場予想5,107実績5,423調整後EPS(6〜8月期)(ドル)会社予想31.00市場予想31.61実績33.42次期(9〜11月期)売上ガイダンス(億ドル)市場予想5,700会社ガイダンス6,150市場予想:BigGo Finance集計出所:マイクロン決算発表(2026/9/30)
図1 会社予想・市場予想・実績の比較。次期売上ガイダンス6,150億ドル(±150億ドル)は、下限の6,000億ドルでも市場予想を上回る。
項目実績・見通し比較
売上高(6〜8月期)5,423億ドル市場予想5,107億ドル/前年比+379%
粗利率(non-GAAP)87.0%会社予想 約86%
営業利益率(non-GAAP)82.3%売上の8割強が営業利益
調整後EPS33.42ドル市場予想31.61ドル
通期(2026年度)売上高13,319億ドル前年度3,738億ドル(+256%)
次期売上ガイダンス(9〜11月期)6,150億ドル市場予想5,700億ドル
次期EPSガイダンス(調整後)38.15ドル市場予想35.40ドル

02成長の軌跡:1年で売上4.8倍、粗利率は87%

図2は四半期ごとの売上高です。1年前の1,132億ドルから、6四半期連続で過去最高を更新してきました。次期のガイダンスは前期比+13.4%で、伸び率こそ鈍りますが増収は続く見通しです。

マイクロンの四半期売上高:1年で約4.8倍、次期は615億ドルの見通しFQ4 FY25 1,132億ドル;FQ1 FY26 1,364億ドル;FQ2 FY26 2,386億ドル;FQ3 FY26 4,146億ドル;FQ4 FY26 5,423億ドル;FQ1 FY27 (予想) 6,150億ドル02,0004,0006,000億ドル1,132FQ4FY251,364FQ1FY262,386FQ2FY264,146FQ3FY26粗利率84.9%5,423FQ4FY26粗利率87.0%6,150FQ1FY27(予想)粗利率86.25%粗利率はnon-GAAP。FQ1 FY26は通期売上から他の3四半期を差し引いて算出
マイクロンの四半期売上高:1年で約4.8倍、次期は615億ドルの見通しFQ4 FY25 1,132億ドル;FQ1 FY26 1,364億ドル;FQ2 FY26 2,386億ドル;FQ3 FY26 4,146億ドル;FQ4 FY26 5,423億ドル;FQ1 FY27 (予想) 6,150億ドル02,0004,0006,000億ドル1,132FQ4FY251,364FQ1FY262,386FQ2FY264,146FQ3FY265,423FQ4FY266,150FQ1FY27(予想)粗利率 FQ3 84.9% → FQ4 87.0% → 次期予想 86.25%
図2 四半期売上高の推移(億ドル)。点線の枠は次期の会社ガイダンス6,150億ドル。

利益の源泉は価格です。経営陣によると、6〜8月期はDRAM価格が10%台後半、NAND価格が約30%上昇しました。売上の内訳はDRAMが3,980億ドル(全体の約73%)、NANDが1,410億ドル(約26%)です。

需給の見通しも強気でした。経営陣は「2027年度と2028年度のメモリーの需給は、2026年よりはるかにひっ迫する」「需給が均衡に戻る時期は見通せない」と説明しています。AI向けの広帯域メモリー(HBM)は、2027年分の大半がすでに高い価格で契約済みとしています。

用語メモ:DRAM・NAND・HBMDRAMは計算中のデータを一時的に置くメモリー、NANDは電源を切ってもデータが残る記憶用のメモリー(SSDなど)です。HBMはDRAMを縦に何層も積み重ねた高性能品で、エヌビディアなどのAI向け半導体の横に置かれます。

03日本株への波及:3つの経路

マイクロンの決算は、日本の半導体関連株にとって「業界の体温計」です。今回の決算から読み取れる波及経路を、図3に整理しました。

マイクロン決算から日本の半導体株への波及経路NAND価格上昇→キオクシア。設備投資500億ドル超→東京エレクトロン・ディスコ・アドバンテスト・SUMCO。HBM需給ひっ迫→ディスコ・アドバンテスト。マイクロンの決算で分かったこと日本の主な関連銘柄NAND価格 約30%上昇データセンター向けSSD売上 約100億ドルFY27設備投資 500億ドル超FY26の2,737億ドルから約1.8倍DRAM・HBMの需給ひっ迫27〜28年は26年より一段とタイトキオクシアHD(285A)NAND専業。価格上昇が直接の追い風東京エレクトロン(8035)前工程の製造装置。メモリー投資の恩恵ディスコ(6146)薄化・切断装置。HBMの積層で需要増アドバンテスト(6857)メモリー・HBM向けテスターSUMCO(3436)シリコンウエハー。増産で数量増関連の強さは事業内容からの整理で、業績への影響度を示すものではありません。
マイクロン決算から日本の半導体株への波及経路NAND価格上昇→キオクシア。設備投資500億ドル超→東京エレクトロン・ディスコ・アドバンテスト・SUMCO。HBM需給ひっ迫→ディスコ・アドバンテスト。NAND価格 約30%上昇データセンター向けSSD売上 約100億ドルキオクシアHD(285A)NAND専業。価格上昇が直接の追い風FY27設備投資 500億ドル超FY26の2,737億ドルから約1.8倍東京エレクトロン(8035)前工程の製造装置。メモリー投資の恩恵ディスコ(6146)薄化・切断装置。HBMの積層で需要増アドバンテスト(6857)メモリー・HBM向けテスターSUMCO(3436)シリコンウエハー。増産で数量増DRAM・HBMの需給ひっ迫27〜28年は26年より一段とタイト複数の経路にまたがる銘柄は最初の経路に掲載
図3 マイクロン決算で分かったことと、日本の主な関連銘柄。矢印は主な波及経路。

経路① NAND価格の上昇 → キオクシア

最も直接的なのはキオクシア(285A)です。キオクシアはNANDの専業メーカーで、マイクロンが示した「NAND価格が約30%上昇」「データセンター向けSSDの売上が約100億ドル、前年同期の10倍超」は、そのまま同じ市場の話です。キオクシアは7〜9月期に純利益約1兆2,700億円(会社計画からの試算)を見込んでおり、今回の決算はこの計画の実現性を後押しする材料になります。9月30日の終値は18,095円でした。

経路② 設備投資の拡大 → 製造装置・素材

マイクロンは2027年度の設備投資を500億ドル超と示しました。2026年度の約2,737億ドルから約1.8倍です。前工程の製造装置を手がける東京エレクトロン(8035)や、シリコンウエハーのSUMCO(3436)にとっては、受注増の手がかりになります。ただし経営陣は、当面の投資はクリーンルームなど建屋の建設が中心で、装置投資より建設投資の伸びが大きいとも説明しています。装置メーカーに恩恵が本格的に及ぶ時期は、もう少し先になる可能性があります。

経路③ HBMの需給ひっ迫 → 後工程の装置・テスター

HBMはDRAMを薄く削って何層も積み重ねるため、ウエハーを薄くする研削装置や切断装置を手がけるディスコ(6146)、メモリーの検査装置(テスター)を手がけるアドバンテスト(6857)の需要につながります。9月30日の終値はディスコが57,450円、アドバンテストが34,260円でした。

銘柄9/30終値前日比主な経路
キオクシアHD(285A)18,095円+1.20%① NAND価格
アドバンテスト(6857)34,260円+1.03%②③ テスター
ディスコ(6146)57,450円+1.36%②③ 研削・切断
SUMCO(3436)3,316円+9.08%② ウエハー
レーザーテック(6920)41,130円+0.32%② 検査装置(間接的)

04それでも株価が跳ねなかった理由

これだけの好決算でも、マイクロン株の時間外取引は小動きにとどまりました。前回6月の決算では発表当日に株価が15%超上がり、東京でも日経平均が大幅高となったのとは対照的です。理由は3つ考えられます。

① 期待がすでに高かった株価は年初来260%超上昇していました。「予想を上回る」ことは、ある程度織り込まれていたとみられます。
② 巨額投資への警戒設備投資500億ドル超は、2028年以降の供給増につながります。メモリーは増産の後に値崩れしやすい業界です。
③ 値上がりペースの鈍化CFOは「価格上昇のペースはいくらか緩やかになる」と述べました。粗利率も次期は86.25%と、今期をわずかに下回る見通しです。

ただし経営陣は「9〜11月期が今年度の粗利率の底になる」とも説明しています。また、2030年までの長期契約(戦略的顧客契約)が26件、売上の35%超をカバーしており、2027年度の生産の75%超はすでに顧客と約束済みです。業績の見通しやすさは、過去のメモリーサイクルより高まっています。

ここが「光と影」の分かれ目好業績が続く「光」と、巨額投資が将来の供給過剰を招く「影」は、同じ決算の裏表です。日本の関連株を見るときも、「今期の数字」より「価格上昇がどこまで続くか」と「増産がいつ効いてくるか」に目を向ける必要があります。

05きょうの東京市場のチェックポイント

シカゴの日経平均先物(CME)は、大阪の日中終値より810円高い67,115円で清算しました。9月30日の日経平均の終値は66,753.72円です。半導体関連から買いが先行するかどうかが、きょうの最初の焦点です。

  • □キオクシアが、NAND価格の上昇を材料に買われるか(株式分割の効力発生日とも重なります)
  • □ディスコ・アドバンテストなどHBM関連に、設備投資500億ドル超が評価されるか
  • □寄り付き後に買いが続くか、それとも「材料出尽くし」で売りに押されるか
  • □同じ朝に発表された日銀短観の結果を受けた為替・金利の動き

まとめ:数字は「満点以上」、問われるのは持続力

  • ▶売上高5,423億ドル、次期ガイダンス6,150億ドルと、実績・見通しともに市場予想を上回りました。
  • ▶NAND価格の約30%上昇はキオクシアに、500億ドル超の設備投資は製造装置・素材株に、HBMのひっ迫は後工程の装置・テスター株に追い風です。
  • ▶一方、株価の反応は鈍く、好決算は織り込まれつつあります。価格上昇ペースの鈍化と、巨額投資による将来の供給増が次の論点です。
  • ▶日本の関連株を見るうえでは、今期の数字より「値上がりの持続力」と「増産のタイミング」が重要になります。

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は2026年10月1日朝時点で確認できた決算資料と報道に基づきます。市場予想は集計元によって異なります。日本の関連銘柄と波及経路は事業内容からの整理で、各社の業績への影響度を示すものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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この記事を書いた人

睦月六弦

ITエンジニア × 長期投資家

投資歴は約10年。FXや信用取引など短期売買での失敗を経て、現在は個別株とインデックス投資を中心に、長期保有を基本とした運用を続けています。本業のITエンジニアの仕事柄、数字やデータから「なぜそうなるのか」を考えるのが好きです。

「上がる・下がる」だけでなく、なぜ動いたのか、そのニュースが企業や投資にどうつながるのかを、決算・金利・為替などの数字や一次情報をもとに読み解いています。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。