TSMC8月売上高+53.3%が支えた日経平均の底堅さ 世界株安の中での独歩反発
2026年9月10日、一時956円超安から プラス圏まで切り返した相場の構造を読む
9月10日の東京市場は、前日の米国株安(中東情勢緊迫化を受けた原油高・金利上昇)を引き継いで下落してスタートした。午前中には前日比956円あまり安の水準まで下げ幅を拡大する場面もあったが、午後に入ると潮目が変わり、日経平均株価は前日比128.17円高の65,270.95円で取引を終えた。
この切り返しの主役となったのが半導体関連株だ。本記事では、世界株安の中で日本の半導体サプライチェーンがなぜ底堅さを見せたのか、その構造を整理する。
日経平均は前日終値65,142.78円に対し、64,768.53円で寄り付き、中東情勢の悪化懸念や米金利上昇を嫌気した売りが先行。前場では一時64,186.68円まで下落する場面があった。
図1:日経平均株価の9月10日イントラデイ推移(前日終値→寄付き→安値→終値)
潮目が変わったのは午後2時30分頃。台湾積体電路製造(TSMC)が発表した8月の月次売上高が前年同月比53.3%増と好調な内容だったことを受け、半導体関連株を中心に買いが加速した。韓国総合株価指数(KOSPI)の持ち直しも追い風となり、大引け間際にプラス圏へ浮上する展開となった。
日経平均の寄与度で見ると、押し上げ側の上位にはアドバンテスト、リクルートホールディングス、村田製作所、キオクシアホールディングス、TDKが並んだ。いずれも半導体製造装置・電子部品・メモリー関連であり、TSMCの好決算を材料視した物色が集中した銘柄群だ。
一方、押し下げ側の上位には東京エレクトロン、フジクラ、イビデンが挙がった。同じ半導体関連でも銘柄によって明暗が分かれており、単純な「半導体は買い」ではなく個別の需給・材料に応じた選別が働いていたとみられる。
図2:日経平均寄与度ランキング 押し上げ上位・押し下げ上位(2026年9月10日)
注目したいのは、米国株が中東情勢を理由に3営業日続落する中、日本の半導体関連株には資金が向かったという事実だ。背景にはSOX指数(フィラデルフィア半導体指数)の底堅さがあり、AI関連投資が牽引する半導体需要サイクルへの期待が、地政学リスクによるリスクオフ心理と綱引きをしている構図がうかがえる。
もっとも、この「デカップリング」が持続的なものかどうかは即断できない。原油高が続けば製造業のコスト圧迫要因になり得るほか、米長期金利の上昇は将来的にグロース株全般のバリュエーションに逆風となる可能性もある。半導体サイクルへの期待と、マクロ・地政学リスクという逆風が同時に存在している点を踏まえ、セクター内でも押し上げ・押し下げが分かれた今回の値動きは、当面「個別材料先行」の相場が続くサインとも読める。
①日経平均は前日比956円超安まで下落したのち、TSMCの8月月次売上高+53.3%を材料に切り返し、128.17円高で終了。②押し上げの主役はアドバンテスト・キオクシアHDなど半導体・部品関連。③同じ半導体でも東京エレクトロンなどは押し下げ側となり、セクター内選別が進んでいる。④世界株安の中での日本半導体株の底堅さは、AI需要サイクルへの期待と地政学リスクの綱引きとして捉えたい。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。市況は本記事執筆時点(2026年9月10日)のものであり、その後の状況変化により内容が異なる場合があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。
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