米イラン交戦激化とホルムズ海峡リスク 原油96ドル台で日本株にも波及
2026年9月10日時点の状況整理と、個人投資家が押さえておきたい波及シナリオ
米国とイランの軍事的な緊張が、ホルムズ海峡周辺を舞台に一段と高まっている。サウジアラビアのエネルギー施設への攻撃や、イラン産タンカーをめぐる応酬が伝わったことを受け、原油価格は約3カ月半ぶりの水準まで急伸した。
この流れを受けて9日の米国株式市場は3指数がそろって3営業日続落。原油高によるインフレ懸念の再燃と、米長期金利の上昇が重荷となった格好だ。本記事では、なぜ緊張が急速に高まったのか、そのメカニズムを整理し、個人投資家として押さえておきたいポイントを解説する。
今回の緊張激化は、イランが支援するとされるイエメンの武装組織フーシ派が、サウジアラビア南部のエネルギー関連施設(日量40万バレル規模とされる精製施設を含む)を攻撃したことに端を発する。その後、イラン国内のカーグ島(同国最大級の原油輸出拠点)付近で爆発音が報じられ、事態は一段と緊迫化した。
これに対し米中央軍(CENTCOM)は、イラン革命防衛隊が米海軍艦艇へのミサイル攻撃を試みたとして、対抗措置としてイランの原油タンカー5隻を航行不能にしたと発表。イラン側はこれに反発し、米国船舶とタンカー計10隻を攻撃したと主張しており、双方の言い分は食い違っている。
図1:緊張激化から米国株安に至る連鎖(2026年9月9日時点の報道ベース)
重要なのは、この応酬が起きている場所がホルムズ海峡周辺だという点だ。同海峡は世界の海上輸送原油の2割前後が通過するとされる要衝であり、ここでの供給混乱懸念は原油価格に直結しやすい。
供給懸念の高まりを受け、NY原油(WTI)は7営業日続伸し、10月限は前日比3.25%高の1バレル=96.05ドルで終了。終値ベースでは5月下旬以来、約3カ月半ぶりの高値となった。国際指標のブレント原油も3.36%高の101.21ドルまで上昇している。
図2:WTI原油(8月平均と9月9日終値)とブレント原油の水準比較
地政学リスクの高まりは安全資産とされる金にも波及し、金価格は1オンス4,440ドル超まで上昇した。一方で株式市場はリスクオフとなり、NYダウ工業株30種平均は前日比-405.41ドル(-0.77%)安の52,380.66ドルで取引を終え、3営業日連続の下落となった。ハイテク株中心のナスダック総合指数も-168.07ポイント安の26,253.34となり、S&P500も-37.16ポイント安の7,636.36で終えている。
加えて、米財務省が実施した長期国債の買い戻しオペで、規模が市場の一部予想を下回ったことも米長期金利の上昇要因となった。「原油高によるインフレ再燃」と「金利上昇」が同時進行する組み合わせは、株式市場にとって特に重荷になりやすい点に留意したい。
日本株への波及ルートは主に3つ考えられる。第一に、原油高そのものが輸入コストの上昇を通じて企業収益や家計に影響する経路。第二に、米国株安・米金利上昇が為替や日本株のセンチメントに波及する経路。第三に、エネルギー関連(商社・石油元売り)や海運・保険といったセクターが、供給混乱リスクを織り込んで個別に物色される経路だ。
実際、9月10日の東京市場は前日の米国株安を受けて日経平均が続落で始まり、一時前日比956円あまり安まで下げ幅を広げる場面があった。もっとも後場にかけて半導体関連株への買いが入り下げ渋る展開となっており、この点は姉妹記事で詳しく扱っている。地政学リスクは短期的な振れを生みやすい一方、シナリオが多岐にわたるため、値動きの「理由」を都度整理しながら、ポジションサイズやセクター配分で対応するのが基本となる。
①フーシ派によるサウジ施設攻撃を発端に米イラン間の応酬が激化し、ホルムズ海峡周辺の供給混乱懸念からWTI原油は約3カ月半ぶりの高値圏まで急伸。②原油高によるインフレ懸念の再燃と米長期金利上昇が重なり、米国株は3営業日続落。③日本株への波及は原油高・米金利上昇・セクター物色の3経路で捉えると整理しやすい。地政学リスクは流動的なため、続報の確認が欠かせない。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。市況は本記事執筆時点(2026年9月10日)のものであり、その後の状況変化により内容が異なる場合があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。
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