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米10年債5%台で日経7万円は両立する?10月8日の「国債入札+FOMC議事要旨」を試算

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株高 × 金利高の「ねじれ」を数字で解く

米10年債5%台で日経7万円は両立するのか? 鍵を握る10月8日「入札+FOMC議事要旨」

弱い米雇用統計で株は買われたのに、長期金利はほとんど下がっていない。このねじれが続くのか、ほどけるのかを、益利回りと国債利回りの差(イールドギャップ)で測ります。

2026年10月5日(月)朝時点のデータで作成

日経平均(10/5 9:15)69,760.01円
米10年債(10/2)5.275%
日本10年債(10/2)3.090%
日経の予想PER(10/2)17.37倍

この記事の結論(3行)

  • 日本株のイールドギャップは+2.67ptとまだプラス。米国株は-0.11ptでマイナス圏。日経7万円と米金利5%台は「直接は」矛盾しない。
  • 7万円を正当化する一番現実的なルートは、金利低下ではなく予想EPSの+2.5%上振れ。決算シーズンが答え合わせになる。
  • ただし今朝の寄り付きは、10/8が最良の組み合わせになるケースの試算値をすでに上回っている。10/8は「上振れ余地」より「下振れ幅」を確かめる日。

01何が「ねじれて」いるのか

先週末(10/2)に発表された米9月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比2.9万人増と市場予想を大きく下回りました。景気減速で利上げが遠のくとの見方から、米国株は上昇し、10月末のFOMCでの利上げ確率は2割前後まで低下しています。

ところが米10年債利回りは、雇用統計直後に5.15%まで下げたものの、引けは5.275%と前日より上昇して週を終えました。前日(10/1)には一時5.34%と、2002年以来の高さをつけています。

普通なら「景気が弱い → 金利が下がる → 株が上がる」という順番で動くはずが、今回は金利が下がらないのに株だけが上がった。これが今回の「ねじれ」です。週明けの東京市場でも日経平均は9時15分時点で69,760.01円と、7万円の大台が目前に迫っています。

02イールドギャップで測る:日本はまだプラス、米国はマイナス

株が金利に対して割高か割安かを測る代表的な物差しがイールドギャップです。株価を1株利益で割ったPERを逆数にすると「益利回り」になり、これは「株に投資したとき、利益ベースで何%の利回りがあるか」を表します。この益利回りから10年債利回りを引いた差が、株というリスク資産を持つ見返りの大きさです。

計算のしかた(10/2時点)

日経平均:益利回り = 1 ÷ PER17.37倍 = 5.76% → 日本10年債3.09%を引くと +2.67pt

S&P500:予想EPS399.20ドルで PER19.35倍 → 益利回り5.17% → 米10年債5.275%を引くと -0.11pt

株の益利回りと10年債利回り(%)日本(日経平均 × 日本10年債)日経平均の益利回り5.76%日本10年債利回り3.09%ギャップ+2.67pt米国(S&P500 × 米10年債)S&P500の益利回り5.17%米10年債利回り5.28%ギャップ-0.11pt出所:日経、各種集計・報道(10/2時点)を基に筆者計算
株の益利回りと10年債利回り(%)日本(日経平均 × 日本10年債)日経平均の益利回り5.76%日本10年債利回り3.09%ギャップ+2.67pt米国(S&P500 × 米10年債)S&P500の益利回り5.17%米10年債利回り5.28%ギャップ-0.11pt出所:日経、各種集計・報道(10/2時点)を基に筆者計算
図1:日米のイールドギャップ。日本株は益利回りが国債利回りを上回るが、米国株は下回っている(10/2時点、筆者計算)

米国は、株の益利回りが国債利回りを下回るという珍しい状態です。「安全な米国債で5%強もらえるのに、利益ベースで5%強しか稼がない株をなぜ持つのか」という問いに対し、米国株は「今後の利益成長」で答えるしかありません。

一方、日本株は日本の金利で評価されるため、ギャップは+2.67ptと余裕があります。つまり「米10年債5%台」と「日経7万円」は、日本株の物差しでは直接ぶつからないのです。

ただし注意点が2つあります。1つ目は、海外投資家にとって比較対象は米国債であり、日経の益利回りと米10年債の差は+0.48ptしかありません。2つ目は、日経平均を押し上げているのがAI・半導体の値がさ株で、これらは米ハイテク株の評価と連動しやすいことです。米金利の上昇は、為替と米ハイテク株の2つの経路から日本株に伝わります。

037万円の「両立条件」を逆算する

日経平均の予想EPS(1株利益)3,932.61円を前提にすると、7万円はPER17.80倍、益利回り5.62%に相当します。10/2終値時点(PER17.37倍)から7万円を「正当化」するルートは、理屈の上では次の3つです。

ルート必要な変化現実味
① 日本の金利が下がる10年債 3.09% → 2.95%低い。今週は入札が続き、日銀は追加利上げを模索
② リスクを取る意欲が強まるギャップ 2.67 → 2.53pt中。すでに過去5年平均PER(15.48倍)より12.2%割高
③ 利益予想が上振れるEPS +2.5%(約4,030円)高い。米S&P500の7〜9月期は前年比約3割の増益予想

必要なEPSの上振れはわずか2.5%です。ねじれをほどく本命は「金利低下」ではなく「業績」であり、10月13日から本格化する米決算、10月下旬からの国内半導体決算がその答え合わせになります。

逆に、業績が追いつく前に金利だけが上がると何が起きるか。下の図は、イールドギャップとEPSを固定したまま、日本10年債利回りだけを動かした機械的な試算です。

10年債利回り別の日経平均(ギャップ・EPS一定)6.2万6.5万6.8万7.1万6.95万2.99%6.83万3.09%6.71万3.19%6.60万3.29%6.49万3.39%6.39万3.49%7万円横軸:日本10年債利回り(濃い棒=10/2の実勢 3.09%)前提:EPS 3,932.61円、ギャップ2.67pt一定。出所:筆者試算
10年債利回り別の日経平均(ギャップ・EPS一定)6.2万6.5万6.8万7.1万6.95万2.99%6.83万3.09%6.71万3.19%6.60万3.29%6.49万3.39%6.39万3.49%7万円横軸:日本10年債利回り(濃い棒=10/2の実勢 3.09%)前提:EPS 3,932.61円、ギャップ2.67pt一定。出所:筆者試算
図4:日本10年債利回りと日経平均の感応度(ギャップ2.67pt・EPS一定の機械的試算)

10年債利回りが0.10pt上がるごとに日経平均はおよそ1,166円押し下げられる計算です。今週の10年債の想定レンジ上限とされる3.25%なら66,463円になります。

0410月8日をはさむ「金利の24時間」

今週は経済指標が少ない代わりに、日米ともに長期・超長期の国債入札が集中します。特に日本時間の10月8日午前3時から9日午前2時までのおよそ1日に、金利を動かすイベントが3つ連続します。

今週の主要日程(日本時間)10/5 月午後臨時国会召集・高市首相の所信表明23:00米9月ISM非製造業景況指数10/6 火12:35日本10年債入札(2兆6000億円程度)日中植田日銀総裁・片山財務相が全国証券大会で挨拶10/7 水日中TOPIX新規採用銘柄の発表10/8 木03:00FOMC議事要旨(9月会合分)公表12:35日本30年債入札(6000億円程度)結果引け後ファーストリテイリング決算10/9 金02:00米30年債入札(220億ドル)結果23:00ミシガン大学消費者マインド速報値網掛け=金利の「24時間」。時刻は予定・目安(出所:各種報道)
今週の主要日程(日本時間)10/5 月 午後臨時国会召集・高市首相の所信表明10/5 月 23:00米9月ISM非製造業景況指数10/6 火 12:35日本10年債入札(2兆6000億円程度)10/6 火 日中植田日銀総裁・片山財務相が全国証券大会で挨拶10/7 水 日中TOPIX新規採用銘柄の発表10/8 木 03:00FOMC議事要旨(9月会合分)公表10/8 木 12:35日本30年債入札(6000億円程度)結果10/8 木 引け後ファーストリテイリング決算10/9 金 02:00米30年債入札(220億ドル)結果10/9 金 23:00ミシガン大学消費者マインド速報値網掛け=金利の「24時間」。時刻は予定・目安(出所:各種報道)
図3:今週の主要日程(日本時間)。10/8未明〜10/9未明に金利イベントが集中する

初心者向け:入札の「好調・不調」とは

国が国債を発行するとき、金融機関などが買いたい金額と利回りを提示します。買い手が多く、低い利回り(高い価格)で売れれば「好調」、買い手が少なく、高い利回りを付けないと売れなければ「不調」です。不調だと市場金利が一段上がりやすくなります。

FOMC議事要旨は、9月会合の議論の中身を示すものです。9月の0.25%利上げは全会一致でしたが、参加者18人のうち4人は10月・12月の連続利上げを見込んでいたと報じられています。議事要旨がこの「タカ派」寄りに読めれば、雇用統計で後退した利上げ観測が息を吹き返す可能性があります。

054つのシナリオと、今朝の株価が織り込んだもの

「30年債入札が好調か不調か」と「議事要旨がハト派寄りかタカ派寄りか」の組み合わせで、日本10年債利回りとイールドギャップに仮定を置き、日経平均の水準を逆算しました。確率の予想ではなく、条件ごとの水準感をつかむための試算です。

10/8の組み合わせ別・日経平均の機械的試算議事要旨:ハト派寄り議事要旨:タカ派寄り入札 好調シナリオA69,395円10年債 3.05%ギャップ 2.62ptシナリオB67,956円10年債 3.12%ギャップ 2.67pt入札 不調シナリオC67,029円10年債 3.20%ギャップ 2.67ptシナリオD64,820円10年債 3.30%ギャップ 2.77pt前提:予想EPS 3,932.61円で固定。確率ではなく条件ごとの水準感出所:日経・各種報道を基に筆者試算(10/2終値基準)
10/8の組み合わせ別・日経平均の機械的試算議事要旨:ハト派寄り議事要旨:タカ派寄り入札好調シナリオA69,395円10年債 3.05%ギャップ 2.62pt入札好調シナリオB67,956円10年債 3.12%ギャップ 2.67pt入札不調シナリオC67,029円10年債 3.20%ギャップ 2.67pt入札不調シナリオD64,820円10年債 3.30%ギャップ 2.77pt前提:予想EPS 3,932.61円で固定。確率ではなく条件ごとの水準感出所:日経・各種報道を基に筆者試算(10/2終値基準)
図2:10/8の「30年債入札」と「FOMC議事要旨」の組み合わせ別に見た日経平均の機械的試算(EPS固定)
シナリオ10年債ギャップ日経平均の試算
A 好調 × ハト派3.05%2.62pt69,395円
B 好調 × タカ派3.12%2.67pt67,956円
C 不調 × ハト派3.20%2.67pt67,029円
D 不調 × タカ派3.30%2.77pt64,820円

注目したいのは、今朝9時15分の69,760.01円が、最も好ましいシナリオAの試算値(69,395円)すら約365円上回っている点です。今朝の水準をPERに直すと17.74倍、ギャップは2.55ptまで縮んでいます。

これは、市場がすでに「10/8は無難に通過し、さらに業績も上振れる」ことまで先回りして買っている、と読むこともできます。AとDの差は約4,575円。上値は業績が確認されるまで限られやすく、下値は金利次第で大きく開くという非対称な形です。

06個人投資家のチェックリスト

  • ・10/6と10/8の昼(12時35分ごろ):日本国債入札の結果。不調なら午後の値がさ株に注意
  • ・日本20年債利回り:10/2時点で3.941%。4%に乗るかどうかが超長期の不安の目安
  • ・10/8未明:FOMC議事要旨で「連続利上げ」派の議論がどこまで広がっていたか
  • ・10/9未明:米30年債入札。日米の超長期が同時に崩れると、ねじれは一気にほどける(=株安方向)
  • ・10/13以降:米決算での利益予想の上方修正。ねじれを「株高のまま」解消できる本命のルート

まとめ:ねじれは「業績」でしか、きれいにほどけない

  1. 日本株のイールドギャップは+2.67ptで、米金利5%台と日経7万円は日本株の物差しでは両立する。米国株は-0.11ptと、利益成長への期待に頼る状態。
  2. 7万円の正当化に必要なのはEPSの+2.5%上振れ。金利低下に期待するより、決算での上方修正を待つほうが現実的。
  3. 10/8〜10/9未明の「金利の24時間」は、今朝の株価が最良シナリオ以上を織り込んでいることを踏まえ、下振れリスクの確認日と位置づけたい。

※本記事は2026年10月5日朝時点で公表されている市場データ・報道をもとに作成した情報提供を目的とするもので、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨するものではありません。シナリオ別の株価水準は一定の仮定に基づく機械的な試算であり、将来の株価を予想・保証するものではありません。

※データ出所:日本経済新聞(日経平均・PER)、共同通信、各種市況報道、FactSet ほか。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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この記事を書いた人

睦月六弦

ITエンジニア × 長期投資家

投資歴は約10年。FXや信用取引など短期売買での失敗を経て、現在は個別株とインデックス投資を中心に、長期保有を基本とした運用を続けています。本業のITエンジニアの仕事柄、数字やデータから「なぜそうなるのか」を考えるのが好きです。

「上がる・下がる」だけでなく、なぜ動いたのか、そのニュースが企業や投資にどうつながるのかを、決算・金利・為替などの数字や一次情報をもとに読み解いています。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。