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SBI証券「ゼロカン」とは?信託報酬0%のオルカンはこどもNISAの最適解か【親向け解説】

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こどもNISA | 国策テーマウォッチ
信託報酬0%のオルカン「ゼロカン」登場。こどもNISAはSBI証券一択になるのか?

SBI証券が、2027年1月に始まる「こどもNISA」専用の全世界株式ファンドを発表しました。保有コストである信託報酬がゼロという、インデックス投信の常識を一段塗り替える商品です。とはいえ「0%」の効果は何円なのか、どんな条件が付いているのか。親の目線で、有価証券届出書まで読み込んで整理します。

信託報酬0.00%ゼロ革命 第4弾
設定日2026.11.17制度開始は2027年1月
買える口座こどもNISASBI証券のみ取扱い
18歳以降0%で保有継続新規買付は不可
この記事の要点
  • ●ゼロカンはMSCI ACWI(いわゆるオルカン)連動で信託報酬0%。ただし買えるのはSBI証券のこどもNISA経由だけ
  • ●子が18歳になって成人NISAへ移っても0%のまま持ち続けられる。一方で成人後の新規買付はできない
  • ●eMAXIS Slimオルカンとの差は、月5万円×10年・年5%の試算で18歳時点で約8.9万円。そのまま60歳まで保有すると約280万円まで広がる
  • ●「信託報酬0%」でも売買委託手数料や監査費用などはファンドから差し引かれる。実質コストは運用開始後の開示で確認を
  • ●すでにSBI証券を使う家庭なら第一候補。他社がメインなら、ポイント還元や使い勝手との比較で決めて問題ない水準

01ゼロカンとは?発表内容を3分で整理

10月1日、SBI証券はSBIアセットマネジメントが運用する「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」(愛称:ゼロカン)の取扱いを発表しました。同社が2023年から進めてきた手数料無料化戦略「ゼロ革命」の第4弾という位置づけです。これまでの第1〜3弾が売買や両替といった取引のコストを無料にしてきたのに対し、今回は持ち続けるあいだずっとかかるコストに踏み込みました。

同日に有価証券届出書が提出されており、商品の骨格は次の通りです。

項目内容
正式名称(愛称)SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド(ゼロカン)
運用会社SBIアセットマネジメント(マザーファンドの株式運用の一部をステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズに委託)
連動を目指す指数MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)
信託報酬0%
購入時・換金時手数料/信託財産留保額いずれもなし
為替ヘッジなし
購入できる口座こどもNISA(0〜17歳対象)を利用する場合に限る
販売会社SBI証券(届出書時点)
設定日/決算2026年11月17日/毎年11月4日(年1回)

中身は、新NISAで人気トップクラスの「オルカン」と同じ指数に連動する、ごく標準的な全世界株式インデックスファンドです。特殊なのはコストと買える場所の制限だけ、と理解しておけば十分です。

そもそも「こどもNISA」とは

2027年1月に始まる、0〜17歳(その年の1月1日時点)が対象の少額投資非課税制度です。年間60万円・非課税保有限度額600万円まで、つみたて投資枠の対象投資信託を非課税で運用できます。口座は1人1口座で、10月1日から各社で口座開設の事前受付が始まっています。

02年齢で変わる「できること」──ゼロカンのライフサイクル

ゼロカンを理解するカギは、子どもの年齢によって「できること」が変わる点です。図1に全体像をまとめました。

0歳12歳18歳成人後払出しルールゼロカン成人後の新規資金原則として払出し不可要件を満たせば払出し可成人NISAへ自動移行積立・買付OK 信託報酬0%年60万円まで/生涯上限600万円0%のまま保有継続※新規の買付は不可(こどもNISA期間中は不要)SBIオールカントリー等同一マザー・信託報酬0.055%対象は0〜17歳(その年の1月1日時点)。払出しは12歳以降、所定の要件・手続きが必要。出所:SBIアセットマネジメント有価証券届出書、各社公表資料より作成
0〜11歳払出し:原則不可ゼロカン:積立・買付OK年60万円/生涯上限600万円12〜17歳払出し:要件を満たせば可ゼロカン:積立・買付OK信託報酬0%18歳〜成人NISAへ自動移行ゼロカン:0%のまま保有継続※新規の買付は不可新規資金→SBIオールカントリー等(同一マザー・0.055%)出所:有価証券届出書、各社公表資料より作成
図1:こどもNISAとゼロカンのライフサイクル 0〜17歳の間は積立・買付ができ、18歳で成人NISAへ自動移行。ゼロカンは0%のまま保有を続けられるが、成人後の新規資金は別のファンドで受けることになる。

0〜11歳:原則として払い出せない「貯める期間」

こどもNISAの資金は原則として引き出せません。教育資金として使うつもりでも、小学生のうちは「動かせないお金」と割り切って配分を決める必要があります。

12〜17歳:要件を満たせば払出し可能

12歳以降は、所定の要件と手続きを経れば非課税のまま払い出せます。中学・高校の入学費用や留学準備に充てるなら、この期間の値下がりリスクをどう抑えるかが現実的な論点になります。

18歳以降:成人NISAへ自動移行、ゼロカンは0%のまま

18歳になると口座は成人向けNISAへ自動的に移り、運用の管理者も親から本人に変わります。SBI証券の発表によれば、こどもNISAで買ったゼロカンは成人後も信託報酬0%のまま保有を継続できます。ただし成人後にゼロカンを買い増すことはできないため、追加の積立は同日設定の「SBIオールカントリー」(同じマザーファンド、信託報酬0.055%)などで受ける形になります。

03「0%」は何円の差?──18歳時点と60歳時点で試算

では「0%」は家計にとっていくらの差になるのか。比較相手は代表的なオルカンであるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、信託報酬は年0.05775%です。想定リターンは年5%(信託報酬控除前)とし、2つの積立パターンで試算しました。

  • ●パターンA:0歳から月5万円×10年(年60万円=枠上限、10年で生涯上限600万円に到達)
  • ●パターンB:0歳から月2.5万円×18年(総額540万円)
0万100万200万300万0歳18歳30歳45歳60歳A:約280万円B:約200万円18歳時点の差A:約8.9万円B:約5.2万円A:月5万円×10年(600万円)B:月2.5万円×18年(540万円)年率5%で運用し60歳まで保有した場合の、ゼロカン(0%)とeMAXIS Slim(0.05775%)の評価額差
0万100万200万300万0歳18歳30歳45歳60歳A:約280万円B:約200万円18歳時点の差A:約8.9万円B:約5.2万円A:月5万円×10年(600万円)B:月2.5万円×18年(540万円)年率5%・60歳まで保有の試算。比較先はeMAXIS Slim
図2:ゼロカンとeMAXIS Slimオルカンの評価額差の推移 18歳時点の差は小さいが、成人後も保有を続けると複利で差が開いていく。信託報酬以外の諸費用は含めていない。
試算ゼロカンSlim差額
A:18歳時点1145万円1136万円約8.9万円
A:60歳時点8887万円8607万円約280万円
B:18歳時点867万円862万円約5.2万円
B:60歳時点6727万円6526万円約200万円

18歳時点の差はパターンAで約8.9万円、Bで約5.2万円。リターンを年3%〜7%に振っても、Aの差は約6.8万円〜約11.6万円の範囲に収まります。子どもが18歳になるまでに限れば、「家計を左右するほどの差」ではないというのが正直な評価です。

一方、ゼロカンの真価は成人後も0%のまま持ち続けられる点にあります。パターンAの資産を60歳まで寝かせると、差は約280万円に拡大します。子ども本人が長期で保有し続けるなら、親が残せる「見えないプレゼント」として意味のある金額です。

年間の信託報酬で見ると

600万円を1年間保有した場合の信託報酬は、eMAXIS Slimで3,465円、SBIオールカントリーで3,300円、ゼロカンは0円です。既存オルカンの時点ですでにかなり安く、「0%」の上積みは年数千円単位だと押さえておくと冷静に判断できます。

04届出書から読む「0%」の注意点5つ

ここからは、有価証券届出書を読んで分かった「0%」の注意点です。宣伝では目立たない部分ですが、親として知っておきたい内容です。

注意点1:信託報酬0%でも「コスト0円」ではない

届出書では、売買委託手数料、監査報酬、目論見書や運用報告書の作成費用などの諸費用はファンドから支払うとされています。これらは信託報酬とは別枠のため、実際の総経費率はゼロになりません。運用開始前のため現時点で総経費率は開示されておらず、初回決算(2027年11月)後の運用報告書で確認するのが確実です。もっとも、これは既存のオルカンでも同様にかかる費用で、ゼロカンだけが不利という話ではありません。

注意点2:貸株収益の一部は運用会社などが受け取る

ファンドが保有株を貸し出した場合、その品貸料の最大55%(税込)を運用会社と受託会社が報酬として受け取れる規定があります(純資産に対し年0.5%が上限)。受益者にとって直ちに損になる仕組みではありませんが、「0%の運用会社がどこで稼ぐのか」を考えるうえでのヒントです。

注意点3:繰上償還の条件に「こどもNISAの改廃」

純資産が10億円を下回った場合や、指数の改廃に加え、こどもNISA制度そのものが改廃された場合も、運用会社は信託を終了できるとされています。償還されると換金して別の商品に乗り換える必要が出てきます。制度専用ファンドならではのリスクとして頭に入れておきましょう。

注意点4:買える場所・譲れる相手が限られる

購入はこどもNISA利用時に限られ、受益権の譲渡先もこどもNISAを利用できる人に限定されています。販売会社は届出書時点でSBI証券のみです。将来、子どもが別の証券会社をメインにしたくなった場合でも、ゼロカンを0%で持ち続けるならSBI証券の口座を残しておくのが前提になると考えておくのが無難です。

注意点5:値動きのリスクは普通のオルカンと同じ

株式100%・為替ヘッジなしの全世界株ファンドです。コストがゼロでも、相場が下がれば元本割れは起こります。特に12〜17歳で教育費として取り崩す予定がある場合は、使う時期の数年前から少しずつ現金化しておくなど、出口の計画のほうがコスト差よりも重要です。

補足:同日設定の「SBIオールカントリー」
ゼロカンと同じマザーファンドに投資し、NISA口座でも課税口座でも買えるファンドです。信託報酬は年0.055%で、MSCI ACWI連動の公募投信では業界最低水準とされています。成人後の追加投資や、親自身のNISAで「ゼロカンと同じ中身」をそろえたい場合の受け皿になります。

05なぜSBIは0%にできるのか──「ゼロ革命」第4弾の狙い

SBI証券は2023年9月以降、オンラインの国内株売買手数料、NISAでの米国株・海外ETFの売買手数料、米ドル/円のリアルタイム為替手数料を次々と無料化してきました。ゼロカンはその延長線上にあり、狙いは図3のスケジュールを見ると読み取りやすくなります。

取引コストをゼロに第4弾:持ち続けるコスト(信託報酬)をゼロに2023年9月〜ゼロ革命 第1〜3弾国内株売買・NISAの米国株/海外ETF・米ドル円為替を無料化2026年10月1日第4弾ゼロカン発表こどもNISA口座の事前受付も開始2026年11月17日ゼロカン設定同日、SBIオールカントリー(0.055%)も設定2027年1月こどもNISA開始0〜17歳の口座で積立・買付スタート18歳到達成人NISAへ移行ゼロカンは0%のまま保有継続出所:SBI証券・SBIアセットマネジメント公表資料、有価証券届出書より作成
2023年9月〜ゼロ革命 第1〜3弾国内株売買・NISAの米国株/海外ETF・米ドル円為替を無料化2026年10月1日第4弾ゼロカン発表こどもNISA口座の事前受付も開始2026年11月17日ゼロカン設定同日、SBIオールカントリー(0.055%)も設定2027年1月こどもNISA開始0〜17歳の口座で積立・買付スタート18歳到達成人NISAへ移行ゼロカンは0%のまま保有継続出所:SBI証券等の公表資料、有価証券届出書
図3:ゼロ革命とゼロカンのスケジュール 第1〜3弾は取引コスト、第4弾は保有コストの無料化。こどもNISAの開始に合わせて段階的に動いている。

0%でも成り立つ理由(筆者の見立て)

  • ●顧客の超長期囲い込み:0歳で開いた口座は、18歳以降もそのまま成人NISAへ移る。ゼロカンを0%で持ち続けたい心理が、口座の「乗り換えにくさ」を生む
  • ●同じマザーファンドでの規模の集約:ゼロカンの資金はSBIオールカントリーと同じ器で運用されるため、規模が大きくなるほど運用の効率が上がる
  • ●信託報酬以外の収益源:前述の貸株収益の分配や、成人後の売買・為替・他商品の利用など、グループ全体で回収する設計と考えられる

SBI証券の預り資産残高は2026年4月末に70兆円を突破しています。取引手数料を捨てて口座数を取りにいった2023年のゼロ革命と同じく、今回も「目先の手数料より、次世代の顧客基盤」を優先した一手と読むのが自然でしょう。

06タイプ別:わが家はゼロカンを選ぶべき?

最後に、家庭の状況別に「どう動くか」を整理します。

すでにSBI証券で親の口座・こども口座がある

ゼロカンが第一候補です。中身はオルカンそのもので、コストは最安。こどもNISAの事前受付は10月1日から始まっているので、年末の混雑前に手続きを済ませておくと2027年1月からすぐ積立を始められます。

楽天証券やマネックス証券などがメイン

ゼロカンのためだけに口座を移すかは、ポイント還元や使い勝手との比較で決めてかまいません。たとえば積立額の0.5%がポイント還元される仕組みなら、年60万円の積立で3,000円相当。600万円保有時のSlimの年間信託報酬(3,465円)とほぼ同じ規模です。ただしポイントは積立をしている期間だけ、信託報酬の差は保有し続ける限りずっと効く、という違いは意識しておきましょう。

子どもが大人になっても長く持たせたい

この場合はゼロカンの優位が最も大きくなります。60歳まで保有するとパターンAで約280万円の差になる試算でした。成人後の追加分はSBIオールカントリーで受け、ゼロカンは「0%の土台」として崩さない、という持ち方が考えられます。

12〜17歳で教育費として使う予定

コスト差は数万円規模にとどまるため、商品選びより出口の設計を優先しましょう。使う時期と金額を逆算し、必要額は早めに現金や値動きの小さい資産へ移しておくのが基本です。

まとめ
  • ●ゼロカンはオルカンの中身はそのまま、信託報酬だけを0%にしたこどもNISA専用ファンド
  • ●18歳時点の差は試算で数万〜10万円程度。成人後も持ち続けて初めて大きな差(約280万円)になる
  • ●諸費用・繰上償還条件・SBI証券での保有継続が前提になりやすい点は、届出書ベースで押さえておきたい
  • ●SBI証券ユーザーなら素直に第一候補。他社派はポイント還元や出口計画と合わせて冷静に比較を

※本記事は2026年10月5日時点の公表情報(SBI証券・SBIアセットマネジメントの発表、有価証券届出書等)をもとに作成しています。ファンドの内容や制度の詳細は変更される可能性があります。購入前に必ず最新の目論見書をご確認ください。

※試算は年率5%の一定リターン、月次積立、信託報酬のみを考慮した単純化モデルであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。税金、諸費用、為替・株価の変動は考慮していません。

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

主な出所:SBIアセットマネジメント「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」有価証券届出書(2026年10月1日提出)/Impress Watch「SBI証券、こどもNISA限定で信託報酬ゼロ円の投資信託『ゼロカン』」(2026年10月1日)/マネックス証券「こどもNISAの制度概要」/SBI証券ニュースリリース(預り資産残高70兆円突破、2026年5月21日)

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この記事を書いた人

睦月六弦

ITエンジニア × 長期投資家

投資歴は約10年。FXや信用取引など短期売買での失敗を経て、現在は個別株とインデックス投資を中心に、長期保有を基本とした運用を続けています。本業のITエンジニアの仕事柄、数字やデータから「なぜそうなるのか」を考えるのが好きです。

「上がる・下がる」だけでなく、なぜ動いたのか、そのニュースが企業や投資にどうつながるのかを、決算・金利・為替などの数字や一次情報をもとに読み解いています。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。