ソフトバンクG、一時7%安から3.92%安で引け ── OpenAI「売上200億ドル下振れ」報道の中身
この記事のポイント
- 10/9の終値は5,803円(前日比−237円、−3.92%)。日中は一時5,600円(−7.28%)と約1カ月ぶりの安値まで売られた。
- 引き金はFTの報道。OpenAIの年換算売上は9月末で約500億ドルで、出回っていた約680〜700億ドルより約200億ドル少なかった。
- 差の主因は売上の数え方の違い(クラウド経由の販売や分配前の総額を含めるかどうか)で、売上が消えたわけではない。この説明が広がり、引けにかけて下げ幅の約46%を取り戻した。
- ソフトバンクGはOpenAIに累計約646億ドル(持分約13%)を投じ、一部は高利回り債で調達。追加の資金調達観測やArmの裁判も重なり、AI株の中でも振れが大きくなった。
- 終値(10/9)5,803円前日比 −237円(−3.92%)
- 日中安値5,600円−7.28%・約1カ月ぶり
- OpenAI年換算売上約500億ドル9月末・FT報道
- 出回っていた数字との差約200億ドル主因は計上方法の違い
1何が起きた? ── 一時7%安、引けは3.92%安
10月9日、ソフトバンクグループ(9984)は前日比237円安の5,803円(−3.92%)で取引を終えました。朝から売りが先行し、日中は一時5,600円(−7.28%)と約1カ月ぶりの安値をつけています。ただその後は買い戻しが入り、下げ幅の半分近くを取り戻して引けました。
きっかけは、前日(米国時間10月8日)に英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた「OpenAIの売上は、これまで伝えられていた数字より約200億ドル少ない」というニュースです。ソフトバンクGはOpenAIの大株主なので、この報道の影響を最も強く受ける日本株の一つでした。
2FTは何を報じた? ── 「500億ドル」と「700億ドル」
FTが入手した資料によると、OpenAIの年換算売上高(直近の月の売上×12で1年分に引き直した数字)は9月末時点で約500億ドルでした。9月下旬には約680〜700億ドルという数字が出回っていたため、差は約200億ドルになります。CNBCも、OpenAIが投資家に「約500億ドル」と説明していたことを確認しています。
ここで大事なのは、200億ドル分の売上が消えたわけではないという点です。報道によると、高いほうの数字は出資者側がライバルのAnthropicの計算方法に合わせて推計し直したものでした。Anthropicは、AWSやGoogle Cloudなどクラウド経由の販売も売上に含めて計上しますが、OpenAIは含めていません。CNBCの関係者も、680億ドルの数字にはパートナーに分配する前の総額が含まれていたと説明しています(Anthropic側の売上の数え方は目論見書の記事の「売上の中身」でも触れています)。
3なぜソフトバンクGが大きく売られた? ── 4つの理由
報道を受けて、米国市場ではエヌビディア、オラクル、コアウィーブなどAI関連株が売られ、その流れが東京市場にも及びました。日経平均も約1%下げています。その中でもソフトバンクGの下げが目立ったのは、次のような事情があるためです。
① OpenAIへの集中。ソフトバンクGは10月1日に追加出資を終えたばかりで、OpenAIへの累計投資額は約646億ドル、持分は約13%に達しています。OpenAIの評価が揺らぐと、ソフトバンクGの保有資産の価値(NAV)に直接響きます。
② 借入で買っている。出資資金の一部は、利回り9〜10%台の高利回り債(いわゆるジャンク債)で調達されたと報じられています。「高い金利を払ってまで買った資産の成長が、思っていたより遅いのでは」という連想が売りにつながりました。
③ さらなる資金調達観測。同じ日に、孫正義氏が中東の投資家などから最大1000億ドル規模の資金調達を探っているとの報道も伝わりました。会社はコメントしていませんが、さらに大きな投資と負担を警戒する材料になりました。
④ 以前からの重し。10月5日には、ソフトバンクGが約9割を持つArmと、クアルコムとの新たな裁判が始まりました。信用リスクを映すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)も、ここ数週間で2023年以来の高い水準まで上がっていました。地合いが弱いところに、OpenAIの報道が重なった形です。
4なぜ引けにかけて下げ渋った?
下げ幅が縮んだのは、「売上が減ったのではなく、数え方が違うだけ」という説明が市場に広がったためです。市場関係者からは「報道に過剰に反応した」「下がったところは押し目」という見方も出ました。
似た場面は1カ月前にもありました。9月14日、OpenAIが年内の上場を見送ると伝わり、ソフトバンクGは一日で10%超下げたあと値を戻しています(そのときの記事)。OpenAI関連のニュースで大きく振れ、中身が確認されると戻るパターンが続いています。
5今後のチェックポイント
| 何を見る | 確認ポイント | なぜ重要か |
|---|---|---|
| OpenAIの開示 | 売上の定義と実額 | 500億ドルの数字を認めるか、計上方法をどう説明するか。報道ベースの数字がまだ混在している |
| 米AI株 | エヌビディア・オラクルの戻り | AI投資全体への懸念に広がるか、OpenAI固有の話で収まるか |
| 資金調達 | 1000億ドル観測の真偽 | 規模と方法(借入か、外部資金か)で財務への負担の見え方が変わる |
| 信用指標 | CDS・社債の利回り | 株価より先に、借入への不安が表れやすい |
| Arm | クアルコムとの裁判 | ソフトバンクGの保有資産で最大級。判断次第で評価が動く |
| 11月中旬 | ソフトバンクGの決算 | OpenAI株の評価益・損失をどう計上するか。会社自身の説明が聞ける |
6まとめ
- ▸10/9の終値は5,803円(−3.92%)。日中は一時−7.28%まで売られ、引けにかけて下げ幅の約46%を取り戻した。
- ▸引き金はFTの「OpenAIの年換算売上は約500億ドル、出回っていた数字より約200億ドル少ない」という報道。
- ▸差の主因は売上の数え方の違いで、売上が消えたわけではない。ただし、投資家の想定より実態が小さかったことは変わらない。
- ▸ソフトバンクGはOpenAIへの集中・借入・追加の資金調達観測が重なり、AI株の中でも振れが大きくなりやすい。
出典と注意
Financial Times(10/8)、CNBC(10/8)、TechCrunch(10/8)、Bloomberg(10/9)、FISCO(10/9)、Investing.com、TradingKey、Euronews、Stocktwits の各報道。OpenAIの売上はいずれも報道が伝えた数字で、会社は公式に開示していません。「出回っていた数字」は報道によって680億ドル・700億ドルと異なります。下落率・戻し幅は筆者が株価から算出したものです。記載内容は2026年10月9日時点の情報に基づきます。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。
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本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

