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【日経平均1,078円急反発】実は値下がり銘柄の方が多い! アドバンテスト主導の上昇、AI相場は本当に底打ちしたのか?【2026年10月27日】

【日経平均1,078円急反発】実は値下がり銘柄の方が多い! アドバンテスト主導の上昇、AI相場は本当に底打ちしたのか?【2026年10月27日】

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この記事のポイント

  • 結論:10/27の急反発だけで日本株全体の底打ちとは言えない。日経平均は1,078.72円高の63,268.37円だが、東証プライムは値下がり798銘柄が値上がり704銘柄を上回り、TOPIXは+0.61%にとどまった。
  • 上昇幅の約56%(約601円)はアドバンテスト1銘柄。ソフトバンクGと合わせた2銘柄で約772円、残り223銘柄の合計は約307円だった。
  • 背景は米SOX指数の+2.82%と売られすぎの反動。アンソロピックの目論見書公開も材料視されたが、株価への直接の因果は確認できない。
  • 最初の試金石は10/28(水)15:30のアドバンテスト決算。半導体決算の中身、指数以外の銘柄への買いの広がり、米金利の3点で強気・中立・弱気が分かれる。

日経平均は1,078円高の急反発。ところが同じ日、東証プライム市場では値下がり銘柄(798)が値上がり銘柄(704)を上回っていました。上昇幅の約56%はアドバンテスト1銘柄。今日の反発は「日本株の全面高」ではなく、AI・半導体の値がさ株に買い戻しが集中した1日です。

  • 日経平均(10/27終値)63,268.37円+1,078.72円(+1.73%)
  • TOPIX3,997.37+24.39(+0.61%)
  • プライムの騰落704 / 798値上がり/値下がり
  • アドバンテストの押し上げ約+601円上昇幅の約56%

1日経平均は1,078円高、しかし市場の実態は?

10月27日(火)、日経平均は前日比1,078.72円高の63,268.37円で取引を終え、4日ぶりに反発しました。前日(26日)の終値62,189.65円は、9月14日の安値62,726円を下回っていただけに、「ようやく底を打った」と感じた人も多いはずです。

朝は379円高で始まり、寄り付き直後の9時2分に安値62,389.47円を付けたあと、10時15分には高値63,684.69円まで上げ幅を広げました。終値は高値から約416円押し戻されています。

項目10月27日ひとこと
日経平均 終値63,268.37円前営業日は62,189.65円
前日比+1,078.72円(+1.73%)4日ぶりの反発
高値/安値63,684.69円/62,389.47円高値は10:15、安値は9:02
TOPIX 終値3,997.37(+0.61%)上昇率は日経平均の約3分の1
プライムの騰落値上がり704/値下がり798値下がりが全体の約51%
プライムの売買代金6兆9,360億円売買高は22億4,473万株
東証プライムの値上がり・値下がり銘柄数(10/27)値上がり704銘柄値下がり798銘柄指数は1.73%高でも、値下がりが94銘柄多かった
プライムの騰落銘柄数(10/27)値上がり704銘柄値下がり798銘柄指数は1.73%高でも、値下がりが94銘柄多い
図1:東証プライムの値上がり・値下がり銘柄数(10/27大引け)。日経ヴェリタス・THE GOLD ONLINEの市況による

いちばん大事なのは、この食い違いです。指数が1.7%上がったのに、値下がりした銘柄のほうが94銘柄多かった。業種別でも不動産業(−3.09%)が下落率の首位で、医薬品や陸運業も売られました。日経平均への値下がり寄与の上位も、リクルートHD(約−33円)、第一三共、中外製薬、ファーストリテイリングと、半導体以外の主力株が並びます。

「日経平均の大幅高」と「幅広い銘柄の上昇」は同じ意味ではありません。指数が大きく動いた日は、TOPIXと騰落銘柄数をセットで見ると、相場全体の温度感がわかります。10月13日の「1,253円安なのに7割が値上がり」とちょうど裏返しの形です(10/13の寄与度分解の記事)。

2アドバンテストだけで上昇幅の約56%?

では、1,078円の上げは誰が作ったのか。日経平均への寄与度(その銘柄の値動きが指数を何円動かしたか)で分解します。

日経平均の上昇幅1,078円の内訳(10/27大引け)アドバンテスト(6857)約+601円(56%)ソフトバンクG(9984)約+171円(16%)残り223銘柄の合計約+307円(28%)日経平均+1,078.72円ソフトバンクGは2銘柄合計(約772円)から、残り223銘柄は上昇幅から差し引いた筆者計算
上昇幅1,078円の内訳(10/27)アドバンテスト(6857)約+601円(56%)ソフトバンクG(9984)約+171円(16%)残り223銘柄の合計約+307円(28%)日経平均+1,078.72円ソフトバンクGは2銘柄合計(約772円)から、残り223銘柄は差し引きで筆者計算
図2:日経平均の上昇幅の内訳(10/27大引け)。アドバンテストと2銘柄合計はFiscoの寄与度ランキング(大引け)による。ソフトバンクGと残り223銘柄は筆者の差し引き計算

アドバンテストは前日比2,790円高(+8.97%)の33,860円で引け、1銘柄で日経平均を約601円押し上げました。601 ÷ 1,078.72 × 100 ≒ 55.7%。ソフトバンクGと合わせた2銘柄で約772円、上昇幅の7割強です。寄与度の上位には東京エレクトロン、イビデン、TDK、ファナック、レーザーテックが続き、残りの223銘柄を全部合わせても約307円にとどまります。

なお、前場(11時30分)時点の集計ではアドバンテストの寄与は約649円でした。寄与度は集計した時刻で変わるので、引用するときは「大引け」かどうかを確かめてください。

日経平均は「株価の平均」で決まる

アドバンテスト1銘柄でここまで動くのは、日経平均が株価平均型の指数だからです。株価が高く、指数の計算に使う係数(株価換算係数)が大きい銘柄ほど、同じ上昇率でも指数を大きく動かします。会社の規模(時価総額)で重みを付けるTOPIXとは、ここが根本的に違います。

日経平均TOPIX
計算方法株価をもとにした平均(値がさ株ほど影響大)時価総額の加重平均(会社の規模が大きいほど影響大)
効きやすい銘柄アドバンテスト・ソフトバンクG・東京エレクトロン・ファーストリテイリングなどトヨタ・三菱UFJなど時価総額の大きい銘柄。銀行・商社の比重も大きい
10/27の動き+1.73%+0.61%
日経平均とTOPIXの騰落率(10/27)日経平均+1.73%TOPIX+0.61%NT倍率は15.65倍→15.83倍(筆者計算)。日経平均だけが強い日の形
日経平均とTOPIXの騰落率(10/27)日経平均+1.73%TOPIX+0.61%NT倍率は15.65倍→15.83倍(筆者計算)
図3:日経平均とTOPIXの騰落率(10/27)。NT倍率(日経平均÷TOPIX)は前日と当日の終値から筆者が計算

日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は15.65倍から15.83倍へ上がりました(筆者計算)。NT倍率が上がるのは「日経平均だけが強い」日の特徴です(NT倍率のゆがみの記事)。

寄与度は「指数を何円動かしたか」を示す数字で、その銘柄の時価総額の比率や、売買代金の比率を表すものではありません。「アドバンテストが市場の56%を占めた」という意味ではない点に注意してください。

上昇の広がりを測るなら、TOPIXのほかに、騰落レシオ(一定期間の値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数)や、全銘柄を同じ重みで扱う等ウェイト型の指数も役に立ちます。この日のように騰落銘柄数が値下がり優勢なら、騰落レシオは下がる方向に働きます。指数は上がったが、上昇の「広がり」はまだ確認できていない ── これが10月27日の数字の素直な読み方です。

3半導体株が買われた背景 ── 事実と推測を分ける

半導体株の反発には、確認できる事実と、市場の思惑にとどまるものが混ざっています。分けて整理します。

材料中身確度
米半導体株の反発26日の米国市場でSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が+2.82%、ナスダック総合指数が+0.82%。SOXは数週間ぶりの大きな上昇事実
アンソロピックの目論見書米アンソロピックが26日に米証券当局へIPOの目論見書(S-1)を公開。各社の市況はこれをAI関連株の買い材料として挙げた事実(公開)
株価への因果は推測
売られすぎの買い戻しアドバンテストは26日にも1銘柄で日経平均を420円超押し下げるなど、直前の3営業日で大きく売られていた。空売りの買い戻しが上げを増幅した可能性推測
決算前のポジション調整28日のアドバンテスト決算を前に、売り持ちを減らす動きが出た可能性推測

アンソロピックの目論見書では、売上高が2年で約100倍に伸びたことが示されました。「AIへの投資は回収できるのか」という不安が和らいだ、という解説が多く見られます。ただし、目論見書の公開がアドバンテストを買わせた直接の原因だと示す一次情報はありません。同じ日に米半導体株全体が上がっていたことを考えると、米国の流れ+売られすぎの反動に、アンソロピックの話題が重なったと見るのが無理のない整理です。目論見書の中身はアンソロピックS-1とAIマネーの流れの記事で詳しく分解しています。

業績で買われたのか、需給で買われたのか

この区別が、反発が続くかどうかを分けます。

  • 業績による上昇:受注や会社の見通しが上向き、利益の予想そのものが引き上げられる。上昇は続きやすい
  • 需給による上昇:売り過ぎの反動や空売りの買い戻し。買い戻しが一巡すると、勢いは止まりやすい

10月27日の時点では、業績の数字はまだ何も新しく出ていません。つまり今日の上げは、少なくとも現時点では需給と期待による部分が大きいと考えるべきです。答え合わせは明日の決算から始まります。

4明日のアドバンテスト決算が試金石

アドバンテストは10月28日(水)15時30分に2026年度第2四半期(7〜9月期)の決算を発表する予定です。直前の第1四半期(4〜6月期)は売上高3,675億円(前年同期比+39.3%)、営業利益1,900億円(同+53.3%)と、四半期として過去最高でした。期待のハードルはすでに高い位置にあります。

見るポイント上振れなら下振れなら
通期の売上・営業利益見通し上方修正の幅が市場予想を上回る据え置き、または修正幅が予想に届かない
受注AI向け・HBM向けの受注が高水準を維持受注の伸びが鈍り「ピーク」が意識される
AI向けテスタの需要来期以降も続くとの会社コメント顧客の在庫調整や発注の後ずれへの言及
利益率高い営業利益率を維持製品構成の変化や為替で利益率が低下

注意したいのは、決算が良いことと、株価が上がることは別だという点です。8月には通期の営業利益予想を大幅に引き上げたにもかかわらず、アドバンテストは売られ、日経平均を1銘柄で約277円押し下げました(上方修正でも売られた8月の記事)。10月22日にも、過去最高の売上を出した米ラムリサーチが「見通しの上積みが小さい」として売られています(10/22の1,713円安の記事)。今日の9%高で、期待のハードルはさらに上がりました。

今週の注目日程

日付イベント見どころ
10/27〜28FOMC(結果は日本時間29日未明)利上げの有無と12月への示唆。米10年債利回りの方向
10/28(水)アドバンテスト決算(15:30)受注・通期見通し・AI向けテスタ需要
10/29〜30日銀金融政策決定会合利上げの有無と円相場
10/30(予定)キオクシアHD決算NAND価格と今後の見通し
10月下旬(予定)東京エレクトロン決算半導体メーカーの設備投資の見通し

キオクシアHDと東京エレクトロンの日付は、各社のIRで最終確認してください。来週の日程と6万円割れの条件は日経平均6万円割れの3シナリオの記事でも整理しています。

5AI相場は底打ちした? 3つのシナリオ

1日の反発だけで底打ちは判断できません。今週の材料がどう出るかで、次の3つに分かれると考えます。これは予測ではなく条件分岐で、確率は付けません。

シナリオ条件想定される市場の反応確認ポイント
強気半導体決算が市場予想を上回り、上昇銘柄が半導体以外にも広がる反発が続き、27日の高値63,684円を上抜けるTOPIXの上昇率、騰落銘柄数が値上がり優勢に転じるか、会社の見通し
中立決算は堅調だが、買いが一部の値がさ株に集中したまま日経平均は上下に振れやすく、方向感に欠ける売買代金、NT倍率、セクター間の強弱
弱気見通しの悪化、FOMC後の金利上昇、AI企業の信用不安の再燃反発が失速し、26日の終値62,189円を再び下回る米10年債利回り、SOX指数、大手IT企業のAI投資計画

シナリオに置いた価格は、すべて直近の実際の値(27日の高値・26日の終値)で、筆者が試算した目標株価ではありません。どのシナリオに進むかは、①半導体決算の中身、②指数以外の銘柄に買いが広がるか、③米金利の3点で見えてきます。AI企業の信用不安が半導体株にどう跳ね返るかは、半導体の好決算とAI企業の信用不安の記事で整理しています。

6長期投資家は何を見るべきか

1,000円を超える上げは気持ちを強気にさせますが、売買を急ぐ前に次の3点を確かめておきたいところです。

① 1日の指数より、企業の業績と株価の水準

今日の上げで変わったのは株価だけで、企業の利益の見通しはまだ何も変わっていません。決算で業績予想がどう動くか、そのうえで株価が利益に対して割高か割安か(バリュエーション)を確認してから判断しても遅くはありません。

② 「AI半導体」でも稼ぎ方は違う

タイプ代表例収益を決めるもの
AI半導体の設計NVIDIA大手IT企業のデータセンター投資。製品の性能差による高い価格決定力
メモリーSKハイニックスHBMなどメモリーの価格と需給。価格の波(市況)の影響を受けやすい
日本の製造装置・検査装置東京エレクトロン、アドバンテスト半導体メーカーの設備投資の計画。チップが複雑になるほど検査(テスタ)の需要が増える

同じ「AI関連」でも、どの段階で稼ぐかで、業績が伸びる時期も落ち込む理由も違います。メモリーと装置株の違いはSKハイニックスとキオクシアの比較記事も参考になります。

③ 半導体への集中度と為替

日経平均に連動する投資信託を持っているだけで、実は半導体の値がさ株にかなり偏った運用になっています。そこに個別の半導体株や米国のハイテク株も持っていれば、同じ材料で一斉に動くリスクを抱えていることになります。米国株は円高になると円での評価額が目減りする点も合わせて、資産全体での偏りを一度確認しておくと安心です。

7まとめ

  • ▸日経平均は1,078.72円高の63,268.37円と4日ぶりに急反発。ただし東証プライムは値上がり704・値下がり798で、TOPIXの上昇率(+0.61%)は日経平均(+1.73%)の約3分の1だった。
  • ▸アドバンテスト1銘柄で約601円、上昇幅の約56%。ソフトバンクGと合わせた2銘柄で約772円。残り223銘柄の合計は約307円にとどまる。
  • ▸背景は米SOX指数の+2.82%と売られすぎの反動。アンソロピックの目論見書公開も材料視されたが、株価への直接の因果は確認できない。
  • ▸10月27日の反発は強いシグナルだが、それだけで市場全体の底打ちは証明できない。今後は半導体決算の中身、指数以外の銘柄への買いの広がり、金利動向の3点を追う。最初の試金石は10/28のアドバンテスト決算。

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出典と注意

株探(10/27大引け・始値・高値・安値・売買代金・アドバンテストの終値)、日本経済新聞・日経ヴェリタス(終値・アドバンテストの値動き・騰落銘柄数)、THE GOLD ONLINE(騰落銘柄数・業種別の騰落)、Fisco(日経平均寄与度ランキング・前引けと大引け)、Investing.com(SOX指数・ナスダック総合指数・アンソロピックの目論見書)、メディアIR、アドバンテストのIR(決算発表日・第1四半期の業績)の各情報。寄与度・騰落銘柄数は媒体や集計時刻によって少し異なることがあります。上昇幅に占める割合、ソフトバンクGと残り223銘柄の寄与、NT倍率は筆者が計算したものです。シナリオは分析のための条件分岐で、将来の株価を予測・保証するものではありません。記載内容は2026年10月27日時点の情報に基づきます。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。投資の判断はご自身で行ってください。

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この記事を書いた人

睦月六弦

ITエンジニア × 長期投資家

投資歴は約10年。FXや信用取引など短期売買での失敗を経て、現在は個別株とインデックス投資を中心に、長期保有を基本とした運用を続けています。本業のITエンジニアの仕事柄、数字やデータから「なぜそうなるのか」を考えるのが好きです。

「上がる・下がる」だけでなく、なぜ動いたのか、そのニュースが企業や投資にどうつながるのかを、決算・金利・為替などの数字や一次情報をもとに読み解いています。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。