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トランプ氏がイラン提案拒否、ブレント108ドル台へ|原油高が「金利」経由で株価に届く仕組みとシナリオ

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地政学リスクウォッチ原油・金利2026年相場2026.09.28
ホルムズ海峡・続報

トランプ氏がイラン提案を拒否、ブレント108ドル台へ――原油高は「金利」を通って株価に届く

「7日以内に海峡を再開する」というイランの条件付き提案を、トランプ米大統領が週末に拒否しました。週明けの原油は約4%高。同じ日、日本の2年債利回りは31年半ぶりの水準に上がり、日経平均は6日ぶりに反落しました。原油・金利・株価が一本の線でつながった一日を、図解とシナリオで整理します。

ブレント原油(9/28一時)108.48ドル9/15以来の高値
開戦前(2/27)比+49.7%72.48ドル→108.48ドル
米10年債利回り5.22%2007年以来の高水準
日本2年債利回り(一時)1.975%1995年以来の高さ
この記事の要点
  • 1イランの「7日で海峡再開」案をトランプ氏が拒否。一方で「今週は協議が再開する」とも発言しており、交渉の扉は閉じていません。
  • 2原油高はインフレ懸念を通じて日米の金利を押し上げ、株価の「割高感」を強めました。今日の日本株安の主因は、原油そのものより金利です。
  • 3今後は「協議再開・膠着・攻撃再開」の3つに分かれます。11月3日の米中間選挙が時間軸の節目です。

1何が起きたか――「7日で海峡再開」案を拒否

イランのアラグチ外相は、国連総会にあわせて米国に新しい提案を示しました。中身は「条件が満たされれば、7日後にホルムズ海峡を開き、核協議を再開する」というものです。条件は、米国によるイラン港湾の海上封鎖の解除、原油販売への制裁の免除、凍結資産の解放、そしてレバノンを含む停戦です。

前週末25日の米国市場は、この提案を「交渉が前に進む」サインと受け止めました。原油が下がり、米長期金利も下がって、NYダウは478ドル高で取引を終えています。

ところが26日(米国時間)、トランプ大統領はこの提案を拒否しました。イランは「負けているから取引をしたがっている」という趣旨の発言です。さらに米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ氏が「11月の中間選挙のあとに対イラン攻撃が再開される」との見通しを側近に伝えたと報じました。

ただし、話はそれで終わりません。トランプ氏は27日、米メディアの取材に「今週、協議が再開すると思う」と話しています。イラン側も「仲介国から正式な回答が届くのを待っている」との立場です。交渉は壊れたのではなく、条件の綱引きが続いている、と読むのが実態に近いでしょう。

  • 海峡の通過数:9/21〜27の1週間で132回(前週116回から+13.8%)。回復は始まっていますが、戦争前の流れにはほど遠い水準です。
  • 紅海の出口(バブ・エル・マンデブ海峡)でも、フーシ派がサウジ船籍のタンカーを狙っています。ホルムズ以外にも供給の弱点があります。

2原油はいまどこにいるのか――開戦前比+49.7%

週明け28日、北海ブレント先物は一時108.48ドルまで上がりました。前週末の終値(約104.3ドル)から約4%高く、9月15日以来の高値です。米国のWTI先物も96.16ドルまで上がっています。9月の1か月では約18%の上昇です。

今年の節目を並べると、いまの位置がよくわかります(図1)。米国とイスラエルがイランを攻撃する前日の2月27日は72.48ドル。4月末には一時126ドルまで上がり、6月には停戦への期待で73.74ドルまで戻りました。そこから再び上がり、いまは開戦前より49.7%高く、6月の安値から47.1%上にいます。4月の高値までは、あと16.2%です。

020406080100120140ドル/バレル72.482/27開戦前(終値)1264/304月末ピーク(日中高値)73.746/24停戦期待の安値(終値)101.009/95月以来の高値(終値・101ドル超)108.489/28提案拒否後(日中・ロンドン時間)開戦前水準開戦前比 +49.7%4月高値まで あと16.2%ドル/バレル(0〜140)2/27開戦前72.48終値4/304月末ピーク126日中高値6/24停戦期待の安値73.74終値9/95月以来の高値101.00終値・101ドル超9/28提案拒否後108.48日中・ロンドン時間開戦前比 +49.7%4月高値まで あと16.2%
図1 ブレント原油の主要な節目(2026年、ドル/バレル)。4月末は日中高値、9/28はロンドン時間の日中値。出所:各種報道をもとに筆者作成
用語メモ:ブレントとWTIブレントは北海産の原油で、世界の原油価格の代表的な指標です。WTIは米国産の原油の指標です。中東情勢の影響はブレントに出やすく、今回もブレントのほうが高い水準にあります。

3原油高が株価に届くまで――カギは「金利」

「原油が上がると、なぜ日本株が下がるのか」。今日の相場は、その答えを教えてくれます。道すじは図2のとおりです。

メインルートイラン案を拒否トランプ氏 9/26攻撃再開の報道も原油高ブレント108ドル台1日で約4%高インフレ懸念FRB 10月利上げ確率66%金利上昇米10年 5.22%日10年 3.095%株の割高感日経平均 −0.73%6日ぶり反落日本固有のルート円安・輸入物価高ドル円 157円台資源輸入国の日本日銀の追加利上げ観測2年債 1.975%31年半ぶりの水準メインルート日本固有のルートイラン案を拒否トランプ氏 9/26攻撃再開の報道も原油高ブレント108ドル台1日で約4%高インフレ懸念FRB 10月利上げ確率66%金利上昇米10年 5.22%日10年 3.095%株の割高感日経平均 −0.73%6日ぶり反落円安・輸入物価高ドル円 157円台資源輸入国の日本日銀の追加利上げ観測2年債 1.975%31年半ぶりの水準
図2 原油高が株価に波及する経路(9/28時点の数値)。日本では円安と日銀の利上げ観測が加わり、金利上昇の圧力が二重にかかる。出所:各種報道をもとに筆者作成

まず、原油高はガソリンや電気代を通じて物価を押し上げます。すると市場は「中央銀行は利上げを続けるしかない」と考えます。FRBは9月に利上げしたばかりですが、市場は10月の追加利上げを66%の確率で織り込んでいます。

日本にはもう一本の道があります。米国の政府関係者から円安の修正を求める発言が相次ぎ、日銀の早期利上げ観測が強まりました。日銀は9月に政策金利を1.25%へ上げたばかりです。そのため、政策金利の見通しを映しやすい2年債が売られ、利回りは一時1.975%と1995年以来の高さになりました。5年債の利回りは過去最高を更新しています。

指標9/28の水準ポイント
米2年債4.90%前日比+0.05%ポイント、利上げ観測を反映
米10年債5.22%2007年以来の高水準
日本2年債(一時)1.975%1995年以来の高さ
日本5年債2.43%過去最高を更新
日本10年債(一時)3.095%節目の3%を上回って推移
日米10年金利差2.125%pt米10年−日10年(筆者計算)

出所:日本経済新聞、Bloomberg、Trading Economicsの報道・データをもとに筆者作成

金利が上がると、株は相対的に「割高」に見えます。安全な国債でそれなりの利回りが得られるなら、値動きの大きい株を高い値段で持つ理由が弱まるからです。日経平均は前週末までの5日間で3000円近く上がっていたこともあり、486.58円安(−0.73%)の65,877.62円と安値で取引を終えました。

用語メモ:なぜ「2年債」に注目するのか償還までの期間が短い2年債は、中央銀行の政策金利の見通しをそのまま映しやすい債券です。2年債の利回りが上がるのは、市場が「近いうちに利上げがある」と考えているサインです。

4シナリオ分岐――協議再開か、膠着か、攻撃再開か

今後の展開は、大きく3つに分けて考えられます(図3)。どれが起きるかを当てるより、どのサインが出たらどのシナリオに近づいたと判断するかを決めておくことが大切です。

米イラン協議9/26 トランプ氏が拒否今週の協議再開が焦点11/3 米中間選挙A協議再開 → 海峡再開へ原油:下落(9/25の急落の再現)金利:米長期金利の上昇が一服株式:半導体・グロース株に追い風サイン:仲介国経由の正式回答/海峡の通過数増加B協議は続くが膠着原油:高止まり(9月の高値圏が続く)金利:高止まり、10月FOMCの利上げ観測が残る株式:指数は上値が重く、銘柄選別の相場サイン:前向き発言でも封鎖・制裁は続くC中間選挙後に攻撃再開原油:4月高値(126ドル)への再接近リスク金利:インフレ懸念とリスク回避の綱引き株式:リスクオフ、エネルギー・防衛へ資金移動サイン:軍事行動の準備報道/通過数の再減少米イラン協議9/26 トランプ氏が拒否今週の協議再開が焦点11/3 米中間選挙A協議再開 → 海峡再開へ原油:下落(9/25の急落の再現)金利:米長期金利の上昇が一服株式:半導体・グロース株に追い風サイン:仲介国経由の正式回答/海峡の通過数増加B協議は続くが膠着原油:高止まり(9月の高値圏が続く)金利:高止まり、10月FOMCの利上げ観測が残る株式:指数は上値が重く、銘柄選別の相場サイン:前向き発言でも封鎖・制裁は続くC中間選挙後に攻撃再開原油:4月高値(126ドル)への再接近リスク金利:インフレ懸念とリスク回避の綱引き株式:リスクオフ、エネルギー・防衛へ資金移動サイン:軍事行動の準備報道/通過数の再減少
図3 米イラン協議のシナリオ分岐と、それぞれの市場への影響・観測サイン。確率ではなく、判断の目安として整理したもの。出所:筆者作成

シナリオA:協議再開から海峡再開へ

先週末の値動きが、このシナリオの予告編です。協議が進むと見られただけで原油が下がり、金利も下がり、米国株は上がりました。仲介国を通じた正式な回答や、海峡の通過数の増加が続けば、このシナリオに近づきます。

シナリオB:協議は続くが膠着

いちばん起こりやすいのは、このシナリオかもしれません。両者とも交渉の扉は開いていますが、「どちらが先に譲るか」で大きく離れています。原油は高止まりし、金利も下がりにくく、株価指数は上値が重くなります。

シナリオC:中間選挙後に攻撃再開

WSJの報道どおりに事態が進むケースです。エネルギー市場では、中間選挙後に米イランの戦闘が再開する「現実の危険」を織り込み始めているとの声も出ています。原油が4月の高値(126ドル)に近づくようなら、インフレ懸念による金利上昇と、リスク回避による金利低下が綱引きになり、株式市場は大きく揺れやすくなります。

5個人投資家のチェックポイント

  • 今週の協議再開の有無:トランプ氏自身が「今週」と言っています。再開できなければ、シナリオBからCへの移行を警戒します。
  • 海峡の週次通過数:132回からさらに増えるか。言葉より実際の船の動きのほうが正直です。
  • 日米の2年債利回り:米4.90%、日1.975%。原油高が「利上げ観測」に変わっているかを確かめる、いちばん早い指標です。
  • 10月2日の米雇用統計:強い数字が出ると、原油高と合わせて10月利上げ観測がさらに強まります。
  • 11月3日の米中間選挙:WSJ報道が示す「選挙後」という時間軸の節目です。
まとめ:原油のニュースは「金利のニュース」として読む

トランプ氏の提案拒否で、原油は開戦前より49.7%高い水準に戻りました。ただ、日本株を実際に押し下げたのは、原油高がもたらした金利の上昇です。日本では円安と日銀の利上げ観測が重なり、金利上昇の圧力が二重にかかっています。

交渉の扉はまだ開いています。「協議が再開するか」「船が増えるか」「2年債が止まるか」。この3つを毎週確かめることが、地政学リスクに振り回されないいちばんの近道です。

※本記事は2026年9月28日時点の公開情報をもとにした情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品の売買を勧めるものではありません。数値は報道時点のもので、その後変わる可能性があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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この記事を書いた人

睦月六弦

ITエンジニア × 長期投資家

投資歴は約10年。FXや信用取引など短期売買での失敗を経て、現在は個別株とインデックス投資を中心に、長期保有を基本とした運用を続けています。本業のITエンジニアの仕事柄、数字やデータから「なぜそうなるのか」を考えるのが好きです。

「上がる・下がる」だけでなく、なぜ動いたのか、そのニュースが企業や投資にどうつながるのかを、決算・金利・為替などの数字や一次情報をもとに読み解いています。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。