AI半導体「審判の週」|OpenAI DevDay・マイクロン決算・米雇用統計、金利5%台で試される期待
AI半導体「審判の週」――OpenAI開発者会議・マイクロン決算・雇用統計。金利5%台で試される期待の高さ
日経平均は朝方に1カ月半ぶりの6万7000円台をつけたあと、1,157円値を消して安値で引けました。AIへの期待はまだ強い。けれど金利は19年ぶりの高さ。今週はその両方が試される「審判の週」です。日程、見るべき数字、影のリスクを一枚ずつ整理します。
- 1AI・半導体株には朝から買いが入りましたが、金利上昇と韓国株安で失速。主要な半導体7銘柄のうち6銘柄が下げました。
- 2今週は29日のOpenAI開発者会議、30日のマイクロン決算、10月2日の米雇用統計が続きます。「期待」と「金利」を同時に採点する1週間です。
- 3金利が上がる局面で株価を支えられるのは、利益の伸びだけです。マイクロン決算は、その答え合わせの場になります。
1今日の値動き――朝の「6万7000円」は続かなかった
28日の東京市場は、前週末の米国の半導体株高を受けて買いから始まりました。日経平均は66,505.94円で寄り付き、一時67,034.74円と1カ月半ぶりに6万7000円台に乗せています。
しかし、買いは続きませんでした。前週末までの5日間で2,880円も上がっていたため、利益確定の売りが出やすかったのです。半導体株の比重が高い韓国の株価指数KOSPIが2.70%下がったことや、日本の長期金利が一時3.095%まで上がったことも重荷になりました。日経平均は486.58円安(−0.73%)の65,877.62円で、その日の安値で取引を終えています。
半導体・AI関連の主力株も、朝の高値から売られました。キオクシアHD、アドバンテスト、レーザーテックはそろって安値引けです。
| 銘柄 | 9/28終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| キオクシアHD285A・NANDメモリ | 53,340円 | −2,440円(−4.37%) |
| SUMCO3436・シリコンウエハー | 3,020円 | −97円(−3.11%) |
| レーザーテック6920・マスク検査装置 | 40,000円 | −910円(−2.22%) |
| アドバンテスト6857・半導体テスター | 33,730円 | −270円(−0.79%) |
| フジクラ5803・光ファイバー・DC部材 | 4,957円 | −29円(−0.58%) |
| JX金属5016・スパッタリングターゲット | 3,551円 | −4円(−0.11%) |
| ディスコ6146・切断・研削装置 | 54,400円 | +180円(+0.33%) |
出所:LIMO「半導体・AI関連株7選」9月28日終値まとめをもとに筆者作成
2今週のイベントカレンダー
機関投資家の間では、重要な予定が続く今週は様子を見ようという雰囲気が強まったとの見方も出ています。まずは日程を確認しましょう(図2)。
9/29(火)OpenAI DevDay――「需要側」の熱を測る
OpenAIが「今年最大のイベント」と位置づける年次開発者会議です。ソフトバンクグループ(SBG)が出資していることもあり、日本株への影響も小さくありません。9月25日時点で公式な議題は公表されていないため、発表内容の予想より「AIの使われ方がどれだけ広がっているか」に注目したいところです。使われる量が増えれば、データセンターと半導体の需要につながります。
9/29(火)キオクシアは株価が約3分の1に――でも急落ではない
キオクシアHDは1株を3株に分ける株式分割を行い、29日が権利落ち日です。28日の終値53,340円で計算すると、分割後の理論上の株価は約17,780円。画面の株価が大きく下がって見えても、持っている株の価値が減るわけではありません。
10/2(金)米雇用統計――金利の行方を決める
強い数字が出ると、FRBの10月利上げ観測がさらに強まり、金利が上がりやすくなります。AI株にとっては、決算と同じくらい大事な数字です。
3マイクロン決算で見るべき3つの数字
米メモリ大手のマイクロン・テクノロジーは、30日(米国時間)に6〜8月期の決算を発表します。AI向けの高性能メモリ(HBM)を作る会社で、日本のメモリ・装置・素材株の「先行指標」とされる存在です。
- 1株利益(EPS):市場予想は31.16ドル。前の四半期の25.11ドルから約24.1%の増加が見込まれています。
- 売上高:予想は504.5億ドル。前の四半期(約380億ドル)から約33%増える計算です。
- 次の四半期の見通し:売上高が550億ドルを超える見通しを出せるかが注目点です。2026年分のHBMはすでに売り切れていると伝えられ、DRAMのスポット価格は1月から52%上がっています。
ただし、マイクロンの株価は年初から約266%上がっています(9月22日時点)。期待がこれだけ高いと、「良い決算」でも「予想どおり」なら売られることがあります。数字そのものより、予想との差と、次の四半期の見通しに注目しましょう。
4影のリスク――金利5%台と中間選挙
AI株の「影」は、会社の外にあります。1つ目は金利です。米10年債の利回りは5.22%と2007年以来の高さにあり、23日には5年債の利回りも2007年以来はじめて5%に達しました。
金利と株の関係は、「益回り」で考えるとわかりやすくなります。益回りはPER(株価収益率)の逆数で、「株価に対して1年でどれだけ利益を生むか」を示します。これを米国債の利回りと比べたのが下の表です。
| PER | 益回り | 米10年債(5.22%)との差 |
|---|---|---|
| 15倍 | 6.67% | +1.45pt |
| 20倍 | 5.00% | −0.22pt |
| 25倍 | 4.00% | −1.22pt |
| 30倍 | 3.33% | −1.89pt |
| 40倍 | 2.50% | −2.72pt |
益回り=1÷PER。筆者計算
PERが約19.2倍(=1÷5.22%)を超えると、益回りは米国債の利回りを下回ります。つまり、高いPERで買われているAI株ほど、「国債より利回りが低いのに、なぜ値動きの大きい株を持つのか」と問われやすくなります。
この問いに答えられるのは、利益の伸びだけです。たとえば株価が変わらないまま1株利益が24.1%伸びれば、PER30倍の株は24.2倍まで下がります。金利が上がる局面では、「利益が期待どおり伸びているか」がこれまで以上に厳しく問われます。
2つ目は政治です。SMBC信託銀行の山口真弘氏は、11月の米中間選挙で、AI投資に慎重な民主党が上下両院で勝てば、関連投資にブレーキがかかる可能性を指摘しています。選挙後の株価の動きは読みにくく、中東情勢も「選挙後」が節目とされています(詳しくは下の関連記事で解説しています)。
5個人投資家のチェックポイント
- DevDayは「量」を見る:新機能の派手さより、利用者や利用量が増えているかどうか。
- マイクロンは「予想との差」と「見通し」:EPS31.16ドル、売上504.5億ドルという予想を上回るか。次の四半期の見通しが550億ドルを超えるか。
- 10月1日朝の東京市場:決算を受けてキオクシアHD、アドバンテスト、ディスコなどがどう動くか。
- 米10年債5.22%がどこへ向かうか:10月2日の雇用統計の後に上がれば、決算が良くても株価は伸び悩みやすくなります。
- キオクシアの分割に惑わされない:29日の株価は理論上約17,780円。見た目の下落は分割によるものです。
朝の6万7000円台は、AIへの期待がまだ強いことを示しました。一方で、その日のうちに1,157円も値を消したことは、金利が5.22%もある世界では、期待だけで株価を上げ続けるのが難しいことも示しています。
今週は、需要(OpenAI)、利益(マイクロン)、金利(雇用統計)の順に答えが出ます。3つがそろって良ければ、AI相場は次の段階に進みます。どれか1つでもつまずけば、調整が長引くかもしれません。数字が出るたびに、どの答えが出たのかを落ち着いて確かめていきましょう。
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※本記事は2026年9月28日時点の公開情報をもとにした情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品の売買を勧めるものではありません。市場予想・株価などの数値は報道時点のもので、その後変わる可能性があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
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本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

