
【2/27上場】ギークリー(505A)のIPO分析|忖度抜きで過去業績を徹底解剖
【結論】光と影が交錯するIT人材紹介ビジネス
★評価ポイント
- 売上高は右肩上がりで成長継続(3年CAGR 34.9%)
- リピート率80.2%の強固な顧客基盤
- キャリアアドバイザー(CA)一人当たり年間売上8,800万円の高生産性
★懸念ポイント
- 2025年5月期は経常利益が前期比41.2%の大幅減益
- 完全売出案件で吸収金額69.4億円の需給悪
- スタンダード上場でグロース期待値低め
どんな会社? 30秒で理解するギークリー
ギークリーは2011年設立のIT・Web・ゲーム業界特化型の人材紹介会社。独自の基幹システム「OLG(オルグ)」を使った効率的マッチングが武器だ。
ビジネスモデルは完全成功報酬型。求職者が入社して初めて企業から報酬をもらう仕組みで、早期離職には返金保証もある。「入社したら終わり」じゃなく、「入社してからが勝負」という姿勢が、リピート率80.2%という数字に表れている。
業績推移|売上は絶好調、でも利益は…?
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 29.1億円 | 6.0億円 | 6.0億円 | 4.1億円 | 20.5% |
| 2023年3月期 | 45.7億円 | 1.8億円 | 1.9億円 | 1.3億円 | 4.0% |
| 2023年5月期※ | 11.1億円 | - | - | - | - |
| 2024年5月期 | 58.4億円 | 12.0億円 | 12.0億円 | 8.6億円 | 20.5% |
| 2025年5月期 | 71.5億円 | 7.0億円 | 7.0億円 | 4.9億円 | 9.8% |
| 2026年5月期(予想) | 90.0億円 | 18.7億円 | 18.7億円 | 12.6億円 | 20.7% |
※2023年5月期は決算期変更による2ヶ月間の変則決算のため参考値
売上高:綺麗な右肩上がり
2022年3月期から2025年5月期までの3年間で、売上高は29.1億円から71.5億円へと約2.5倍に成長。年平均成長率(CAGR)は34.9%と、人材業界としては極めて高い水準だ。
成長の原動力はキャリアアドバイザー(CA)の増員。面談数は2024年5月期の20,065件から2025年5月期は25,648件へと約28%増加している。CA一人当たりの年間売上高は8,800万円という驚異的な生産性を誇る。
利益率:ジェットコースター状態
ここが最大の懸念材料。営業利益率を見ると:
- 2022年3月期:20.5%(優秀)
- 2023年3月期:4.0%(急降下)
- 2024年5月期:20.5%(V字回復)
- 2025年5月期:9.8%(再び下落)
- 2026年5月期予想:20.7%(再びV字回復予定)
この乱高下の理由は明確だ。会社の説明によると、攻めの投資期と利益刈り取り期が交互に来ている。
2025年5月期の大幅減益の中身
前期比で経常利益が41.2%減という数字だけ見るとかなり厳しいが、これは戦略的な投資によるもの:
- 販売促進費の増加:求職者獲得コストが上昇
- 人件費の増加:事業拡大に伴いCA等を積極採用
売上総利益は前期比25.3%増と順調に伸びているが、販管費が45.7%増と売上以上のペースで増えた結果の減益だ。
ビジネスモデルの強み
1. 分業体制による効率化
ギークリーの最大の特徴は徹底した分業体制:
- MA(マーケティング):求職者の集客・面談設定
- CA(キャリアアドバイザー):求職者との面談・求人紹介
- RA(リクルーティングアドバイザー):求人企業の開拓
この仕組みにより、未経験者でも早期にCA業務をキャッチアップ可能。業界では珍しい「スケーラブルな人材紹介モデル」を構築している。
2. 独自システム「OLG」によるデータドリブン
過去の求職者のITスキル、前職、転職先での役割などのデータを蓄積し、AIも活用してマッチング精度を向上。システムがCAに推薦求人を自動提案する仕組みだ。
その結果、短期離職による返金率はわずか2.9%。人材業界では驚異的な低さだ。
3. 顧客基盤の安定性
- 取引先数:1,417社
- リピート率:80.2%
- 売上上位10社構成比:わずか10.0%
特定顧客への依存度が低く、顧客分散が効いた安定的な収益構造になっている。
ビジネスモデルの弱み・リスク
1. 利益率の不安定さ
前述の通り、営業利益率が4%から20%まで大きく変動。投資フェーズと刈り取りフェーズの波が激しい。
2026年5月期は営業利益率20.7%を見込んでいるが、これは広告費の大幅削減(56.8%減)が前提。ZETA DIVISIONとのスポンサー契約による広告効率化が計画通り進むかが鍵だ。
2. 生成AI時代のリスク
IT・Web・ゲーム業界では生成AIの導入が急速に進んでおり、特定の職種(コーディング、デザイン等)で省人化が進む可能性がある。
同社もRPAやAIを導入して生産性改善に取り組んでいるが、「マッチングする仕事自体が減る」リスクには対処が難しい。
3. 人材獲得コストの上昇
2025年5月期の減益要因でもあるが、求職者獲得コストが上昇傾向にある。人材紹介業界全体が同じ求職者を奪い合う構造なので、今後も広告費の高止まりが予想される。
IPO条件の評価
需給面:かなり厳しい
- 想定価格:1,880円
- 仮条件:1,880円〜1,900円
- 吸収金額:最大69.4億円(大型案件)
- 想定時価総額:240.7億円
- 公募割合:0%(完全売出案件)
- オファリングレシオ:25.1%
公募がゼロで既存株主の売り出しのみ。しかも吸収金額が約70億円とスタンダード案件としてはかなり大きい。需給面では初値上昇が期待しにくい構造だ。
バリュエーション:ほぼ適正
想定価格1,880円ベースで計算すると:
- 予想PER:15.6倍(2026年5月期予想ベース)
- 予想PBR:6.5倍
人材サービス業としては平均的な水準。大きく割安でもなければ、割高でもない。
同業比較:TWOSTONE&Sonsとの差
同じIT人材領域のTWOSTONE&Sons(7352)と比較すると、ギークリーの方が利益率は高い。分業体制と独自システムによる効率化が効いている。
初値予想:公募価格±10%のレンジか
各IPO評価サイトの見解を総合すると、初値は公募価格近辺からやや上という見方が多い。
上値が限定される理由:
- 吸収金額が大きく、需給が重い
- 完全売出案件で資金調達ニーズがない(成長投資への期待薄)
- スタンダード上場でグロース期待が低い
- 2025年5月期の大幅減益が印象悪い
それでも一定の評価が見込める理由:
- 売上成長率22.4%と堅調
- IT人材需要という追い風市場
- 2026年5月期は大幅増益予想
- 安定した顧客基盤とビジネスモデル
仮条件上限の1,900円で決まった場合、初値は1,900円〜2,100円程度のレンジを想定する投資家が多そうだ。
まとめ:手堅いビジネスだが、IPOとしては微妙
★事業としての評価:B+
IT人材紹介という成長市場で、独自の分業体制とシステムにより高い生産性を実現。リピート率80.2%という顧客基盤の強さも魅力的。ただし、利益率の変動が大きく、生成AI時代のリスクもある。
★IPOとしての評価:C
完全売出案件で吸収金額69.4億円は需給面で厳しい。2025年5月期の大幅減益も印象が悪い。スタンダード上場なので長期的な成長期待も限定的。初値は公募価格から大きく乖離しない可能性が高い。
★投資判断
主幹事の野村證券から当選した場合は参加してもいいが、積極的に資金を投入する案件ではない。SBI証券からポイント狙いで申し込むのが無難な戦略か。
※本記事は公開情報を基にした分析であり、投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
























