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米5年債5%でも日経平均4連騰の理由|円安ルートと金利ルートで読む日本株
2026年相場 / 中央銀行ウォッチ

マーケット解説|2026年9月24日

米5年債利回り5%でも日経平均は4連騰。この「ねじれ」の正体と、続く条件

米国では金利が2007年以来の高さに達し、ナスダックは1%超下げました。ところが翌日の東京市場で日経平均は495円高の65,513円と4日続伸。なぜ日本株だけが上がれたのか。米金利上昇が日本株に伝わる2つのルートから読み解きます。

日経平均(9/24)65,513円(+495円)
米10年債利回り一時5.13%
ドル円158.40円(9/23高値)
米総合PMI(9月速報)58.4(5年超ぶり高水準)

この記事の結論(3行)

  • 米金利の上昇は、日本株に「円安で輸出企業がもうかる(プラス)」と「株が割高に見える(マイナス)」の2つの形で同時に伝わる。今は前者が勝っている状態。
  • ただし日経平均は午前に864円高まで買われた後、上げ幅を369円縮めた。半導体など「金利に弱い」銘柄の重さは消えていない。
  • 米10年債が5%台で落ち着けば日本株は底堅いが、さらに上昇して世界的な株安になれば、円安だけでは支えきれない。次の分かれ目は米国の物価指標。

01何が起きたか:米国株安の翌日に日本株が上昇

9月23日の米国市場は、朝方に発表された9月の購買担当者景気指数(PMI)が約5年ぶりの高水準となったことで、「景気が強すぎてFRBがまた利上げする」という警戒が広がりました。米5年債利回りは2007年以来初めて5%に乗り、10年債は一時5.13%。S&P500は-0.73%、ナスダックは-1.11%、小型株のラッセル2000は-1.6%と下落し、米国株の7割超が値下がりしました。

ところが翌24日(23日は日本の祝日)の東京市場では、日経平均が495円高(+0.76%)の65,513円で4日続伸。同じ24時間で、米国と日本の株価が逆方向に動いたことになります。

単位:%(米国は9月23日、日経平均は9月24日の終値ベース)日経平均(9/24)+0.76%NYダウ(9/23)-0.63%S&P500(9/23)-0.73%ナスダック(9/23)-1.11%SOX指数(9/23)-1.23%ラッセル2000(9/23)-1.60%
図1 同じ24時間の騰落率。米国の金利上昇で米国株が売られる一方、日経平均は上昇した。出所:各市場の終値をもとに作成

02ねじれの正体:米金利上昇が日本株に伝わる2つのルート

米国の金利が上がると、日本株には2つのルートで影響が届きます。向きが逆なので、どちらが強いかで日経平均の方向が決まります。

米景気が過熱PMI 58.4米金利が上昇10年債5.13%▶ドル高・円安158.40円輸出企業の円建て利益↑①円安ルート株の割高感(将来利益の割引↑)半導体・グロースが売られる②金利ルート日経平均①と②の綱引き+−
図2 米金利上昇の2つの伝達ルート。①円安ルートは日本株にプラス、②金利ルートはマイナスに働く(筆者作成)
  • ①円安ルート(プラス):米金利が上がるとドルを持つ魅力が増し、ドル高・円安に。ドル円は23日に158.40円まで上昇した。海外で稼ぐ自動車・機械などは、円に換算した利益が膨らむ。
  • ②金利ルート(マイナス):安全な米国債で5%もらえるなら、株に求める見返りも上がる。将来の利益に期待して買われている半導体・グロース株ほど、割高に見えて売られやすい。米国で半導体株指数(SOX)が1%超下げたのはこのルート。

24日の東京市場では①が②を上回りました。加えて、活発な自社株買いと、東証による企業価値向上の要請という日本固有の下支えもあります。株主還元を強める企業が増え、海外の金利に振り回されにくい買い手が市場にいる状態です。

03なぜ「5%」が重要なのか:日米の金利の地図

単位:%(2026年9月下旬時点。日本10年債は9月1日の水準)米10年債5.13%米5年債5%FRB政策金利(中央値)3.875%日本10年債(9/1)3%日銀政策金利1.25%
図3 日米の主要金利の水準。出所:FRB、日本銀行、各種報道をもとに作成

FRBは9月16日に全会一致で0.25%の利上げを決め、政策金利を3.75〜4.00%にしました。市場はそれでも足りないとみて、長めの金利がさらに上昇しています。日本も長期金利が9月1日に3.0%と約30年ぶりの水準に達しましたが、米10年債との差はなお約2.13%あります。

5%という水準は、個人投資家にとっても分かりやすい節目です。「リスクなしで年5%」の選択肢があると、世界中のお金が株から債券へ少しずつ移りやすくなります。米国株が下がる一方で日本株が上がる状態は、円安が続く限りという条件付きだと考えておくのが安全です。

用語メモ:PMIとは?

企業の購買担当者に景況感を聞く指数で、50を上回ると景気拡大を示します。9月の米国は総合58.4(8月は56.0)と強く、企業の仕入れ価格を示す指数も66.4(8月59.9)と2022年10月以来の高さ。景気の強さとインフレの再燃が同時に見えたことが、金利上昇の引き金になりました。

04日経平均の「中身」で明暗が分かれる

指数が上がっていても、すべての銘柄が恩恵を受けているわけではありません。24日の日経平均は午前に864円高の65,883円まで買われた後、上げ幅を369円縮めて取引を終えました。9月7日の終値66,399.84円と比べると、まだ1.3%下の水準です。

タイプ米金利上昇+円安の影響理由
輸出企業(自動車・機械など)追い風円安で円建ての売上・利益が増える
銀行・保険追い風日本の金利上昇で貸出や運用の利ざやが広がりやすい
半導体・ハイテク逆風米国の半導体株安が波及しやすい。将来の成長期待で買われている分、金利上昇に弱い
不動産・内需グロース逆風借入コストの上昇。円安は輸入コスト増にもなる
エネルギー・資源中立〜追い風原油高(WTIは24日に94ドル台)が収益を支える

日経平均は値がさの半導体関連株の影響が大きい指数です。米国で半導体株が崩れる日が続くと、円安の恩恵を上回って指数が下げる場面も出てきます。日経平均だけでなくTOPIXや業種別の動きを並べて見ると、どちらのルートが優勢かが分かりやすくなります。

05この先のシナリオ:3つの分かれ道

シナリオ米10年債ドル円日本株の姿
A:高止まり5%前後で横ばい157〜160円円安ルート優勢が続き、輸出・金融が主導して底堅い
B:金利がさらに上昇5.5%に向かう160円超(介入リスク)世界的な株安に。円安だけでは支えきれず、半導体中心に下落
C:金利が反落4%台後半へ150円台前半円高で輸出株は重いが、半導体・グロースが反発。主役が入れ替わる

どのシナリオに進むかを決めるのは、米国のインフレと雇用のデータです。仕入れ価格の上昇が消費者物価に表れれば、Bのリスクが高まります。一方、円相場には日本側の事情もあります。日銀が利上げしてもなぜ円安が続くのかは、姉妹記事で詳しく解説しています。

まとめ:投資家が見るべきポイント

  • 米金利上昇は「円安ルート(+)」と「金利ルート(−)」の綱引き。今の日本株高は円安が支えている。
  • 米10年債5%台・ドル円158円前後が続くかどうかが、日本株の上昇の前提条件。
  • 指数より中身を見る。輸出・金融が強く、半導体が弱い日は、金利ルートの圧力が強まっているサイン。

※本記事は2026年9月24日時点の公開情報(各市場の終値、FRB・日本銀行の発表、報道)をもとに作成した情報提供であり、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。シナリオは筆者の見立てで、将来の相場を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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