
中東戦争・原油急騰・日本株急落
「3つの連鎖」を整理して
今後の投資戦略を考える
2026年2月28日に勃発した米・イスラエルによるイラン攻撃。ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、 WTI原油は3日間で約14%急騰。日経平均は2,000円超の急落局面を経て本日反発へ。 「何が起きて、どこまで続き、どう動けばいいのか」を一本で解説する。
- 「中東→原油→日本株」3つの連鎖メカニズムをおさらい
- ホルムズ海峡封鎖の現状と原油価格の動き
- 日本経済・家計への具体的な影響試算
- 日経平均の現状と下値目処
- 有事で「上がる株・下がる株」セクター別整理
- 投資家が今取るべきアクション
① 「中東→原油→日本株」3つの連鎖メカニズム
今回の局面を理解するには、3つの要素がどう連鎖するかを掴んでおく必要がある。 日本は構造的にエネルギーを海外に依存しており、中東で何かが起きると「確実に」国内に波及する。
米・イスラエルがイラン攻撃
ホルムズ海峡 事実上封鎖
ガソリン・電気・LNG
輸入インフレ・業績悪化
日本はこの連鎖に対して構造的な脆弱性を持っている。 原油輸入の94.0%を中東地域に依存しており(2025年貿易統計)、 中東から日本に向かうタンカーの約8割がホルムズ海峡を通過する。 地理的に遠い戦争でも、日本の家計・企業・株式市場は直撃を受ける構造だ。
② ホルムズ海峡の現状と原油価格の動き
ホルムズ海峡は今どうなっているか
攻撃開始直後、イラン革命防衛隊(IRGC)はホルムズ海峡付近の船舶に対し「通過は安全ではない」と通告。 IRGCの司令官は「閉鎖した」と明言し、通過を試みる船舶は「炎上させる」と警告した。 日本郵船・川崎汽船など大手海運会社も通峡を停止している。 ペルシャ湾には現在44隻の船舶が足止めされており、日本船主協会は「事態は深刻」と発表した。
| 項目 | 数値・内容 |
|---|---|
| 世界の原油海上輸送に占める割合 | 約20%(日量約1,650万バレル) |
| 日本の原油輸入の中東依存度 | 94.0%(2025年貿易統計) |
| 日本向けタンカーの海峡通過割合 | 約80% |
| 日本の石油備蓄日数 | 254日分(国会答弁) |
| 大手海運会社の対応 | 日本郵船・川崎汽船など通峡停止 |
原油価格はどう動いたか
3日間で約+14%
攻撃開始前の2月28日時点でWTI原油は既に年初から約10ドル高い67ドル台まで上昇していた。 ホルムズ海峡の事実上封鎖によって3日間で約14%急騰し、一時77ドル台まで上昇。 ブレント原油は3月2日に一時82.37ドルの高値をつけた。 その後、4月分の増産をOPECプラス8カ国が発表したことと「停戦協議打診」報道が重なり、 一時的に上げ幅を縮小したが、ホルムズ海峡の封鎖状態が続く限り上昇圧力は持続する可能性が高い。
| シナリオ | WTI想定レンジ | 根拠 |
|---|---|---|
| 短期終結(4〜6週間) | $70〜$80 | OPECプラス増産が緩衝材になる |
| 長期化(2〜3か月) | $87〜$90超 | 野村総研・日経新聞各アナリスト試算 |
| 最悪ケース(全面封鎖継続) | $100〜$130超 | 第一生命経済研究所など複数試算 |
③ 日本経済・家計への具体的な影響試算
ガソリン価格への影響
暫定税率廃止によって2025年末から1リットルあたり約25円引き下げられ、 全国平均ガソリン価格は150円台で推移していた。しかし野村総研の木内エグゼクティブ・エコノミストは、 軍事衝突が長期化して原油が87ドルまで上昇した場合、ガソリン価格は200円を突破し、 「暫定税率廃止の効果は消失する」と指摘する。原油が130ドルまで上昇する最悪ケースでは、 エネルギーアナリストの試算で1リットルあたり20〜30円の押し上げ圧力が加わり、 180〜200円超えが現実的な数字となる。
電気代・LNG価格への波及
原油に連動するLNG(液化天然ガス)価格も上昇する。電気代・ガス代の高騰は 輸送・製造コストを押し上げ、食料品を含む幅広い品目の値上がりで家計・企業に 重い負担をもたらす。
0.7%
→-0.96%
リスク
2026年の春闘では過去最高水準の賃上げが見込まれており、 実質賃金のプラス転換が射程に入っていた。しかし原油高によるインフレ再加速は、 その流れを断ち切るリスクをはらんでいる。 「脱デフレ」路線を掲げる高市政権にとっても、エネルギーショックは最大の逆風材料だ。
④ 日経平均の現状と下値目処を整理する
高値から急落、そして本日の反発
日経平均は2月26日に年初来高値の59,332円をつけた後、 イラン攻撃勃発とホルムズ海峡封鎖を受けて急落。3月3〜4日には一時2,000円超の下落局面もあった。 本日(3月5日)はシカゴ日経225先物が前日比+2,120円と大幅高となり、 午前中は東京株式市場でも一時2,300円超の急騰となる場面があった。
| 水準 | 目処 | 根拠 |
|---|---|---|
| 第1目処 | 約 54,000円 | 衆院選前の水準・意識されやすいサポートライン |
| 第2目処 | 約 52,000円台 | 75日移動平均線の位置 |
| 第3目処(最悪ケース) | 約 49,800円 | 高値59,332円からの-16%(2022年ロシア侵攻時の日経下落率に相当) |
みんかぶのアナリスト目標株価は「50,291円(売り)」と評価されており、 ダウンサイドリスクはまだ残っているとの見方が市場にある。 一方で、過去の地政学リスク局面では有事による株安が一巡した後に比較的早く反発するパターンも多く、 今年は中間選挙(11月)の年でもあるためトランプ政権が株価を意識して早期収拾を図るとの見方もある。
🔴 強気シナリオ(早期終結)
- 4〜6週間以内に停戦合意
- ホルムズ海峡の通行再開
- 原油価格の急落
- 中間選挙にらみトランプ政権が収束誘導
🔵 弱気シナリオ(長期化)
- イスラエルが作戦継続を主張
- ホルムズ海峡の封鎖状態が継続
- 原油87〜90ドル超が定着
- スタグフレーション懸念が台頭
⑤ 有事で「上がる株・下がる株」セクター別整理
恩恵を受けるセクター・銘柄
| セクター | 理由 | 代表銘柄例 |
|---|---|---|
| 上昇↑石油・資源 | 原油高が直接業績に追い風。INPEXは3月2日に前週末比+10.78%の上場来高値を更新した。 | INPEX(1605)、石油資源開発(1662) |
| 上昇↑防衛関連 | 地政学リスクの高まりで防衛費拡大期待が加速。2026年度予算の防衛関係費は過去最大の約9兆円。 | 三菱重工(7011)、川崎重工(7012)、IHI(7013) |
| 上昇↑金・貴金属 | 有事のリスクヘッジ需要が高まる。ドルや株の代替として資金流入が継続。 | 純金ETF・金関連投信 |
| 上昇↑海上保険・海運保険 | 戦争リスク補償の需要急増。保険料の上昇が収益に。(3月5日付で大手海上保険が補償停止に動く動きも) | 東京海上HD(8766)など |
打撃を受けるセクター・銘柄
| セクター | 理由 | 代表銘柄例 |
|---|---|---|
| 下落↓航空・海運(輸送) | ホルムズ海峡封鎖で運航停止・迂回コスト増。燃料費の高騰も直撃。 | JAL(9201)、ANA(9202)、日本郵船(9101) |
| 下落↓自動車・輸出製造業 | 部品調達コスト増加に加え、消費者マインド悪化で国内需要にも影響。 | トヨタ(7203)、ホンダ(7267)など |
| 下落↓食品・小売 | 物流コスト・原材料費の上昇が値上げ圧力となり収益を圧迫。 | 日清食品HD(2897)、イオン(8267)など |
| 注意ハイテク・AI関連 | インフレ再燃→金利上昇懸念でバリュエーションが高い成長株ほど調整しやすい。 | エヌビディア(NVDA)・半導体関連全般 |
⑥ 投資家が今取るべき3つのアクション
Action 1:「本当に終わった」を確認してから動く
停戦期待で相場が反発した3月4〜5日の動きは、典型的な「期待先行の買い戻し」だ。 肝心なのは①ホルムズ海峡の通航が公式に再開されたか、②トランプ大統領が停戦を正式に発表したか、 の2点を確認してから行動することだ。 この2点が揃う前に飛び乗ると、再度の悪化局面で損失を被るリスクがある。
Action 2:「定点観測」すべき3つの指標
| 指標 | 見るポイント | どこで確認するか |
|---|---|---|
| WTI原油先物価格 | 80ドルを安定的に下回り始めたら停戦進展のサインと読める | Bloomberg・SBI証券など |
| ホルムズ海峡の航行情報 | 大手海運会社(日本郵船・川崎汽船)が通峡を再開するか | 各社IR・時事通信 |
| トランプ大統領・国防総省の声明 | 「作戦縮小」「出口戦略」の言及が出れば市場は先読みで動く | ロイター・Bloomberg |
Action 3:有事でも「攻める銘柄・守る銘柄」を分けておく
中東リスクが継続する期間中、相対的に優位なのはエネルギー・防衛・金という3分野だ。 一方で日経平均の55,000〜57,000円台への本格回復は、停戦確認後にハイテク・輸出株が 戻る局面で生じやすい。下表のように「有事持ち継続」と「停戦後に仕込む」を意識して分けておくと、 どのシナリオでも動ける準備ができる。
| 局面 | 優位なセクター | 見直し候補 |
|---|---|---|
| 有事継続中 | 攻めINPEX・防衛株・金ETF | 守り銀行・内需ディフェンシブ |
| 停戦・和平確認後 | 押し目ハイテク・輸出製造業・航空 | 利確エネルギー・防衛株(上昇一服) |
まとめ:3つの連鎖を冷静に整理して行動する
今回の「中東→原油→日本株」の連鎖を整理すると、以下の3点に集約される。
- 中東情勢: 停戦協議打診の報道は出たが、米側は「真剣さを欠く」と判断。イスラエルは打診を無視するよう要請しており、本格終結には時間がかかる可能性が高い。
- 原油価格: ホルムズ海峡の封鎖が続けば80〜90ドル台を維持し、最悪ケースで100〜130ドルも視野に入る。日本の原油依存度(94%)の高さから、エネルギー価格の上昇は国内消費・実質賃金・企業コストを直撃する。
- 日本株: 下値目処は54,000円→52,000円台→50,000円割れの3段階。停戦の公式確認前の「反発局面」への飛び乗りはリスクが高い。ホルムズ海峡通航再開と原油の80ドル割れを確認してから行動するのが基本戦略だ。
<関連する記事>
<ツイッターの反応>
(出典 @OANDAjp)
FX・CFDのOANDA証券株式会社【公式】 @OANDAjp
S&P500の振り返りと見通し:イラン停戦交渉の報道で買い安心感広がる(2026年3月5日) oanda.jp/lab-education/…
(出典 @Om55588)
/オマールOmar⚡️ @Om55588
返信先:@YahooNewsTopics 📰 イラン、停戦協議を打診か — 米報道 中東情勢に注目が集まる⚠️
(出典 @daisan9105)
daisan @daisan9105
イラン、停戦協議を打診か 米側は実現に懐疑的(共同通信) #Yahooニュース news.yahoo.co.jp/articles/d8882…
(出典 @koba_kazu_jp)
Kazutaka Kobayashi @koba_kazu_jp
イラン、停戦協議を打診か 米側は実現に懐疑的。イラン側が打診してきたとしても、「誰と」交渉して「誰が」合意を保証できるのかが不明瞭。仮に打診が本物でも、署名する相手がいない、履行を強制・統制できるリーダーがいない状態では、合意自体が絵に描いた餅。
(出典 @harada_hirofumi)
原田 裕史 @harada_hirofumi
いきなり爆弾落とされたら「ちょっと待った」くらいは言うのは自然と思うが。 イラン、停戦協議を打診か 米側は実現に懐疑的(共同通信) news.yahoo.co.jp/articles/d8882…
(出典 @red_blue_nine)
あかあお @red_blue_nine
今日の経済以外の大きなトピック📰 イラン情勢をめぐる軍事・外交ニュースが中心で、停戦協議の報道と軍事関連の速報が並んでいる。 •「イランが停戦協議を打診と報道」「イラン、停戦協議を打診か 米側は実現に懐疑的」といった停戦関連の速報が掲載されている。
(出典 @kiittyomu)
吉貯無@つばめさん @kiittyomu
近年の、特にWW2以降の戦争の通常の流れ。 お互いあらゆる選択肢を持つのが普通。 イラン、停戦協議を打診か 米側は実現に懐疑的(共同通信) #Yahooニュース news.yahoo.co.jp/articles/d8882…
(出典 @terra_dai)
terra【公式】ユーフォNIKKE俺ガイル青ブタ🏀ノーメロクワトロありがとう❤️ @terra_dai
正直イスラエル次第じゃね?アメリカは継続は望んでないように思う イラン、停戦協議を打診か 米側は実現に懐疑的(共同通信) #Yahooニュース news.yahoo.co.jp/articles/d8882…
































