
【日経平均1713円安】AI・半導体売りはどこまで続く?6万3000円割れの構造【2026年10月最新】
この記事のポイント
- 結論:日経平均は1,713円安の62,907.84円で安値引け(7月30日以来の安値)。TOPIXは1.14%安にとどまり、売りはAI・半導体の値がさ株とソフトバンクGに集中した「指数の歪み」の1日だった。
- アドバンテスト(約447円)と東京エレクトロン(約358円)の2銘柄で下げ幅の約47%。NT倍率は15.98倍から15.74倍に下がった。
- 引き金は米ラムリサーチの決算。売上82.2億ドルは過去最高で予想も上回ったが、見通しの上積みが小さく時間外で5〜7%安。「上振れでも売られる」ほど期待が高い。
- 標準シナリオは6万2000〜6万4000円のレンジ。9/14の安値62,726円が目先の分かれ目で、10/23インテル決算、10/27〜28 FOMC、10/29〜30日銀会合が次の材料。
10月22日の日経平均は1,713円安の62,907円。終値で6万3000円を割り込み、7月30日以来およそ3カ月ぶりの安値です。ただしTOPIXの下げは1.14%にとどまり、日経平均(2.65%安)の半分以下。売られたのは市場全体というより、AI・半導体の値がさ株とソフトバンクGでした。引き金は、過去最高の売上を出しながら時間外で売られた米ラムリサーチの決算です。
- 日経平均(10/22終値)62,907.84円−1,713.40円(−2.65%)
- TOPIX3,997.50−46.23(−1.14%)
- NT倍率15.74倍前日は15.98倍
- 値がさ2銘柄の押し下げ約805円アドバンテスト・東エレク
1下落の仕組み ── 日経平均だけが大きく下げた理由
21日の米国市場ではダウ平均が360ドル高と上昇していました。ところが22日の東京市場は、前日終値(64,621円)をわずかに下回る64,539円で始まります。寄り付きの段階で、中東情勢の悪化懸念の再燃と、前日の米国で決算を発表したテスラの設備投資計画の引き下げが重荷になりました。
朝方は一時64,866円まで上げて前日終値を上回る場面もありましたが、長続きしません。米ラムリサーチが決算発表後の時間外取引で売られていたことから、東京エレクトロンなど半導体関連株に売りが広がり、10時には237円安。後場に入ると韓国株(KOSPI)が下げ幅を広げたことも重しになり、日経平均はその日の安値で取引を終える「安値引け」になりました。引けまで買い戻しが入らなかったことは、売りの勢いが最後まで衰えなかったことを示しています。
| 指標 | 10月22日 | 前日 | 前日比 |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 62,907.84 | 64,621.24 | −1,713.40(−2.65%) |
| TOPIX | 3,997.50 | 4,043.73 | −46.23(−1.14%) |
| NT倍率(筆者計算) | 15.74倍 | 15.98倍 | −0.24 |
| ドル円(16時) | 157.06円台 | — | 円高方向 |
| NYダウ(21日) | 52,856.09 | — | +360.21 |
日経平均だけが大きく下げた「指数の歪み」
日経平均は株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きい計算方法です。一方のTOPIXは時価総額で重みをつけるため、銀行・商社・医薬品など幅広い業種の動きが効きます。22日はこの違いが、そのまま下落率の差になりました。
日経平均の下げ1,713円のうち、アドバンテスト(約447円)と東京エレクトロン(約358円)の2銘柄だけで約805円、下げ幅の約47%を占めました。ウエルスアドバイザーの集計では、これにソフトバンクグループを加えた3銘柄がマイナス寄与の上位です。プラス寄与のトップはリクルートHDでしたが、押し上げは33円ほどにとどまりました。
| 銘柄 | 終値 | 前日比 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| アドバンテスト(6857) | 32,370円 | −2,070円(−6.01%) | マイナス寄与の首位(約−447円) |
| 東京エレクトロン(8035) | 9,450円 | −710円(−6.99%) | ラムリサーチの時間外安を受けた連想売り |
| ソフトバンクグループ(9984) | 4,305円 | −317円(−6.86%) | 半年ぶりの安値圏。時価総額はピークの半分以下 |
なかでも目立ったのがソフトバンクGです。10月の騰落率はマイナス33%と日経平均225銘柄の中で最下位で、時価総額は6月の過去最高(約49.3兆円)から半分以下になりました。背景には、AI投資のための借入と資金調達への警戒があります。持株会社としての中身(NAV)から見て、今の株価が「下げすぎ」なのか「妥当」なのかは、ソフトバンクG 時価総額半減をSOTPで分解した記事で詳しく試算しています。
2注目ポイント ── ラムリサーチ決算が示した「上振れでも売られる」
この日の売りの起点になったのが、半導体製造装置大手、米ラムリサーチ(LRCX)の7〜9月期決算です。結果だけを見ると、ほぼすべての項目が市場予想を上回っていました。
| 項目 | 実績・会社見通し | 市場予想 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 売上高(7〜9月期) | 82.2億ドル | 81.4億ドル | 上振れ 四半期で過去最高 |
| 調整後EPS | 2.20ドル | 2.18ドル | 上振れ 小幅 |
| 調整後の粗利率/営業利益率 | 52.4%/40.2% | — | 営業利益率は初めて40%を超えた |
| 10〜12月期の売上見通し | 86億ドル±4億ドル | 約85.4億ドル | 小幅 予想をわずかに上回る程度 |
| 10〜12月期のEPS見通し | 2.33ドル±0.15ドル | — | — |
| 株価の反応(時間外) | 5〜7%安 | — | 下落率は報道によって幅がある |
決算はラムリサーチの開示(Form 8-K)と、MarketBeat・CNBC・TIKRの報道による。市場予想は各社集計の値で、集計元によって少し異なります。
「上振れでも売られる」は期待値が高すぎるサイン
過去最高の売上を出し、次の四半期の見通しも予想を上回ったのに株価は下がった。これは「良い決算」ではなく「期待以上の決算」でなければ買われない段階に入っていることを示しています。決算説明会でCFOが「短期的な供給網の制約がなければ、見通しはもう少し高かった」と話したことも、「本当はもっと伸びるはずだったのでは」という受け止めにつながりました。地域別の売上構成が不利に動いたことも指摘されています。
ラムリサーチは、AI向けの先端半導体をつくるための装置を売る会社です。その会社の見通しが「予想をわずかに上回る程度」だったことで、同じ装置を売る東京エレクトロンや、半導体の検査装置を売るアドバンテストにも「次の決算で期待を超えられるか」という疑いが向いたわけです。このような、ある会社の決算を手がかりに同業他社がまとめて売られる動きを連想売りと呼びます。
追い風
- 需要そのものは崩れていない:ラムリサーチの売上は過去最高で、営業利益率は40%を超えた。売上が予想を上回り続けている以上、「AI向け投資が止まった」わけではない
- 供給の制約は「売れないから」ではなく「作りきれないから」:制約が解消すれば、見通しの上積みにつながる可能性がある
- 指数の下げは値がさ株に偏っている:TOPIXの下げは1.14%で、相場全体から資金が逃げたわけではない
リスク要因
- AI投資の採算への疑い:GPUや装置を買う側(クラウド企業)が投資を回収できるかへの警戒が続いている。テスラの設備投資計画の引き下げもこの不安を強めた
- 海外勢の売りの波及:オランダのASMLや台湾のTSMCに向いていた売りが、半導体関連全体に広がっている。韓国株も半導体ブームの反動で急落した
- 借入に頼るAI投資の信用不安:ソフトバンクGの資金調達への警戒は、AI相場の「お金の流れ」の弱い部分がどこかを映している
なぜ今この下げに注目するのか。10月の日経平均は、AI・半導体株が売られるたびに大きく下げ、その間もTOPIXは比較的落ち着いている、という形を繰り返しています(10月19日のセクターローテーションの記事)。今日はその「ずれ」が、好決算を出した会社まで売られるところまで来ました。半導体を売る側の決算は強くても、買う側の採算と資金繰りに疑いが向いている ── この構図は半導体の好決算とAI企業の信用不安が同時に起きる理由の記事で整理したとおりです。
3今後の株価インパクト ── 価格帯と3つのシナリオ
まず、終値の62,907円から見た目安の価格帯です。
| 価格帯 | 意味 | 終値からの距離 |
|---|---|---|
| 72,831円 | 年初来高値(6/22) | +9,924円(+15.8%) |
| 64,621円 | 前日(10/21)の終値 | +1,713円(+2.7%) |
| 63,832円 | 10/19の日中安値 | +925円(+1.5%) |
| 62,907円 | 10/22の終値(安値引け)。年初来高値から13.6%下 | — |
| 62,726円 | 9/14の安値。9月からの上昇の起点 | −181円(−0.3%) |
| 60,000円 | 心理的な節目 | −2,907円(−4.6%) |
| 50,558円 | 年初来安値(3/31) | −12,349円(−19.6%) |
年初来高値からの下落率は13.6%で、一般に「調整」と呼ばれる10%を超えました。すぐ下には9月14日の安値(62,726円)があり、ここを守れるかが目先の分かれ目です。
強気・標準・弱気の3シナリオ
| シナリオ | 条件 | 日経平均の目線 |
|---|---|---|
| 強気 | 米ハイテク企業の決算で設備投資計画が維持される。中東情勢が落ち着く | 6万4000〜6万5000円を回復 |
| 標準 | AI関連株は戻り売りに押される。日銀は10月会合で利上げを見送り、円安も一服しない | 6万2000〜6万4000円のレンジ(標準シナリオ) |
| 弱気 | AIの採算への疑いが、ソフトバンクGなど借入の多い企業の信用不安に広がる。原油が再び高騰 | 6万円割れを試す |
筆者は標準シナリオ(6万2000〜6万4000円のレンジ)を中心に見ています。ラムリサーチの決算が示したとおり、AI向けの需要そのものは崩れていません。一方で、「期待を超える決算でなければ買われない」状態は、決算が一巡するまで続きやすい。AI関連株が下げ止まるかどうかが、日経平均の下値の分かれ目になります。弱気シナリオの引き金になりやすいのは、半導体そのものより、AI投資のお金を借りて回している側の信用不安です。
注意すべきイベント
| 日付 | イベント | 見どころ |
|---|---|---|
| 10/23 | インテル決算 | 設備投資と受託生産の見通し。半導体株の反発のきっかけになるか |
| 10/27〜28 | FOMC(結果は日本時間29日未明) | 米国の利上げの有無と、ハイテク株への影響 |
| 10/29〜30 | 日銀 金融政策決定会合 | 10月は利上げ見送りの見方が多く、本命は12月とされる。円相場への影響 |
| 10月下旬〜 | 米大手ハイテク企業の決算 | AI向け設備投資の計画が維持されるか(各社の発表日は公式IRで確認) |
| 11/3 | 米中間選挙 | 結果次第で米国株が大きく動く可能性 |
| 11/10(予定) | ソフトバンクG 7〜9月期決算 | NAV・LTV(借入の比率)と資金調達の説明 |
価格帯とシナリオは分析のための目安で、将来の株価を予測・保証するものではありません。前提が変われば結果も変わります。投資の判断はご自身で行ってください。
4この相場に向き合うための証券会社と関連記事
今日のように指数が大きく動く日は、日経平均とTOPIXのどちらに連動する商品を持っているかで損益がまったく違います。日本株の個別銘柄や指数連動の投資信託は、主要なネット証券で手数料をかけずに売買できます。
| 証券会社 | 国内株の売買手数料(ネット取引) | ひとこと |
|---|---|---|
| SBI証券 | 0円(電子交付などの条件あり) | 単元未満株(S株)も扱う。米国株・投資信託まで品ぞろえが広い |
| 楽天証券 | 0円(ゼロコース) | 楽天ポイントが貯まる・使える。取引ツール「マーケットスピード」 |
| 松井証券 | 1日の約定代金50万円まで0円 | 少額の売買が多い人向け。サポート窓口が手厚い |
| マネックス証券 | 条件は公式サイトで確認 | 銘柄分析ツール「銘柄スカウター」で業績の推移を確かめやすい |
手数料はいずれも税込・ネット取引。各社の公表情報をもとにしていますが、条件やキャンペーンは頻繁に変わるため、口座開設前に各社の公式サイトで最新情報を確認してください。本記事に広告リンクは含みません。
ソフトバンクGの中身の分析はSOTPで分解した記事、日銀会合の見通しはシリーズ「中央銀行ウォッチ」、AI相場の資金の流れはシリーズ「AI熱狂の光と影」で継続して取り上げています。
5まとめ
- ▸日経平均は1,713円安の62,907.84円と安値引け。7月30日以来の安値で、年初来高値からは13.6%下げた。
- ▸TOPIXは1.14%安にとどまり、NT倍率は15.98倍から15.74倍に低下。アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄で下げ幅の約47%(約805円)を押し下げた。
- ▸引き金は米ラムリサーチの決算。売上は過去最高で予想も上回ったが、見通しの上積みが小さく時間外で5〜7%安。「上振れでも売られる」ほど期待が高い。
- ▸ソフトバンクGは6.86%安で時価総額はピークの半分以下。AI投資の資金調達への警戒が、指数の下げを大きくした。
- ▸標準シナリオは6万2000〜6万4000円のレンジ。9/14の安値62,726円を守れるかと、10月末の日米の金融政策・ハイテク決算が次の分かれ目。
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出典と注意
中日新聞「東京株式 22日終値」、株探(日経平均の大引け・10時・後場の市況)、Yahoo!ファイナンス(日経平均の時系列)、フィスコ(日経平均寄与度ランキング・大引け、東京エレクトロンの値動き)、ウエルスアドバイザー(マイナス寄与上位)、日本経済新聞(大引けの市況)、みんかぶ(寄り付きの市況)、株式ちゃんねる・YAYAFA(当日のマーケット情報)、ダイヤモンド・ザイ(セキュリティ関連株の逆行高)、Bloomberg(ソフトバンクGの時価総額)、ラムリサーチの開示(Form 8-K)・MarketBeat・CNBC・TIKR(ラムリサーチ決算)、第一生命経済研究所(日銀10月会合の見通し)の各情報。寄与度は媒体や集計時刻によって少し異なることがあります。NT倍率、東京エレクトロンと残り223銘柄の寄与度、価格帯までの距離、年初来高値からの下落率は筆者が計算したものです。シナリオと価格帯は分析のための目安で、将来の株価を予測・保証するものではありません。記載内容は2026年10月22日時点の情報に基づきます。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。
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本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

