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日経平均1,253円急落の理由|「暴落」なのに7割の銘柄は上昇、7万円相場は本当に終わったのか?【2026年10月13日】

日経平均1,253円急落の理由|「暴落」なのに7割の銘柄は上昇、7万円相場は本当に終わったのか?【2026年10月13日】

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  • 結論:7万円相場が終わったと判断するのはまだ早い。10/13の日経平均は1,253円安の67,777.52円だが、東証プライムの約73%(1,137銘柄)は値上がりし、TOPIXは5.86ポイント高だった。
  • 下げの正体は4銘柄。東京エレクトロン・ソフトバンクG・アドバンテスト・キオクシアHDだけで日経平均を約1,274円押し下げ、残り221銘柄は合計で約21円のプラスだった。
  • きっかけは中国CXMTのメモリー技術の進展と米半導体株安。中東情勢による原油高と、米10年債5%台の高金利が成長株の重しになっている。
  • 下値の目安は半値押しの66,762円と75日線の66,674円。次の材料は10/14の米9月CPIと10/15のTSMC決算。

日経平均は1,253円安。ところが同じ日、東証プライム市場では約73%の銘柄が値上がりしていました。今日の下げは「日本株全体の暴落」ではなく、AI・半導体の主力4銘柄に売りが集中した調整です。

  • 日経平均(10/13終値)67,777.52円−1,253.40円(−1.82%)
  • TOPIX4,110.67+5.86(小幅高)
  • プライムの値上がり銘柄1,137銘柄全体の約73%
  • 4銘柄の押し下げ約−1,274円下げ幅を上回る

1日経平均1,253円急落 ── 今日の数字を整理

3連休明けの10月13日(火)、日経平均は前営業日(10月9日)比1,253.40円安の67,777.52円で取引を終えました。下落率は1.82%で、4日続落です。連休中に米国の半導体株が売られた流れを受けて朝から売りが先行し、下げ幅は一時1,900円を超えました。

ただし、引けにかけては押し目買いが入っています。安値の67,058.56円から終値までに約719円戻しており、売り一色のまま終わったわけではありません。

項目10月13日ひとこと
日経平均 終値67,777.52円前営業日は69,030.92円
前日比−1,253.40円(−1.82%)4日続落
日中の安値67,058.56円下げ幅は一時1,900円超。終値は安値から約719円戻す
TOPIX 終値4,110.67(+5.86)日経平均と逆に小幅高
プライムの騰落値上がり1,137/値下がり378変わらず31。値上がりが約73%
プライムの売買代金7兆9,640億円商いを伴った下げ

売買代金が8兆円近くに膨らんだのは、薄商いの中での値崩れではなく、大口の売りと買いがしっかりぶつかったことを示しています。売られたのは何で、買われたのは何だったのか ── そこを分けて見るのが、今日の相場を読むカギです。

2「暴落」なのに7割の銘柄が上昇 ── 日経平均とTOPIXの違い

今日いちばん大事な数字はこれです。日経平均は1,253円安なのに、東証プライムの約73%の銘柄は値上がりしていました。日経平均を構成する225銘柄に限っても、値上がり156・値下がり68と、上がった銘柄のほうが2倍以上多かったのです。33業種のうち26業種が上昇し、原油高を追い風に海運業(+3.10%)が首位、商社や資源株も逆行高でした。

なぜこんなことが起きるのか。理由は2つの指数の計算方法の違いにあります。

日経平均TOPIX
対象225銘柄東証の幅広い銘柄(プライム市場が中心)
計算方法株価をもとにした平均(株価が高い銘柄ほど影響大)時価総額の加重平均(会社の規模が大きいほど影響大)
効きやすい銘柄東京エレクトロン・アドバンテスト・ソフトバンクG・ファーストリテイリングなど一部の値がさ株トヨタ・三菱UFJなど時価総額の大きい銘柄。銀行・商社の比重も大きい
10/13の動き−1.82%+0.14%

日経平均は、株価の高い一部の銘柄が大きく動くと、それだけで指数全体が大きく振れる仕組みです。その結果、日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は、9日の16.82倍から13日は16.49倍へと1日で0.33ポイント下がりました(筆者計算)。NT倍率が下がるのは「日経平均だけが弱い」日の特徴で、値がさの半導体株に売りが集中したことを数字が裏付けています(NT倍率の読み方は日経7万円とNT倍率のゆがみの記事)。

「日経平均の暴落=日本株全体の暴落」とは限りません。指数が大きく動いた日は、TOPIXと値上がり銘柄数をセットで見ると、相場全体の温度感がわかります。

3下げの正体は4銘柄 ── 寄与度で分解

では、1,253円の下げは誰が作ったのか。日経平均への寄与度(その銘柄の値動きが指数を何円動かしたか)で分解すると、答えははっきりします。

日経平均の下げ1,253円の内訳(10/13)東京エレクトロン(8035)−450円ソフトバンクG(9984)−399円アドバンテスト(6857)−261円キオクシアHD(285A)約−164円4銘柄の合計約−1,274円残り221銘柄の合計約+21円日経平均−1,253円キオクシアは4銘柄合計(約1,274円)から逆算
日経平均の下げ1,253円の内訳(10/13)東京エレクトロン−450円ソフトバンクG−399円アドバンテスト−261円キオクシアHD約−164円4銘柄の合計約−1,274円残り221銘柄の合計約+21円日経平均−1,253円キオクシアは4銘柄合計(約1,274円)から逆算
図1:日経平均の下げ1,253円の内訳。3銘柄はFiscoの寄与度ランキング(大引け)、4銘柄の合計は株探による。キオクシアHDは合計からの逆算で、残り221銘柄は筆者の差し引き計算

東京エレクトロン(約−450円)、ソフトバンクG(約−399円)、アドバンテスト(約−261円)、キオクシアHD(約−164円)の4銘柄だけで約1,274円。日経平均の下げ幅1,253円を上回っています。裏を返すと、残りの221銘柄は合計でわずかにプラス(約+21円)でした。ファーストリテイリングが1銘柄で約163円押し上げるなど、半導体以外では買われた主力株も多かったのです。

つまり今日の下げは、「日本企業の業績が一斉に悪くなった」という話ではありません。日経平均への影響力が大きいAI・半導体関連株に、売りが集中したという構図です。7月にも、同じように2銘柄で下げの4割を占めた日がありました(日経平均2,694円安の寄与度分解の記事)。

4半導体株を襲ったCXMTショック

今日の下げは、3つの要因に分けて考えると整理しやすくなります。

要因株価への伝わり方重要度
中国CXMTのメモリー技術の進展メモリー価格と、日米韓のメモリー大手の競争力への不安高
米半導体株の下落連休中の米国の売りが、日本の半導体関連株に波及高
中東情勢・原油高・金利高止まりインフレと企業のコスト増への警戒。成長株の割高感中〜高

直接のきっかけは、中国のメモリー大手CXMT(長鑫存儲技術)です。新しいセル構造(4F²)を採用したサーバー向けDDR5メモリーを年内に発売する計画と伝わり、韓国・米国のメモリー大手との競争が激しくなるという連想が広がりました。12日には韓国のSKハイニックスや米国のマイクロンが売られ、連休明けの東京市場でもキオクシアHDが急落、製造装置の東京エレクトロンや検査装置のアドバンテストにも売りが広がりました。

技術の発表と、量産で勝てるかは別の話

ただし、ここは冷静に分けて考える必要があります。技術を発表することと、量産で競争力を持つことは別の問題だからです。今後、本当に脅威になるかどうかは、次の3点で確かめられます。

  • 価格:CXMTのDDR5が、既存品より大幅に安い値段で出回るか
  • 歩留まり:作った製品のうち良品の割合が、採算に乗る水準に届くか
  • 生産能力:サーバー向けの大口顧客に安定して供給できる量を作れるか

キオクシアはNAND型フラッシュメモリーが主力で、DRAMは作っていません。CXMTの技術が各社にどう効くのかは、CXMTショックとキオクシア・SKハイニックスへの影響の記事で詳しく切り分けています。

5原油高と金利高の二重苦

CXMTの話だけなら、ここまで売りが膨らまなかったかもしれません。背景には、成長株にとって居心地の悪い環境があります。中東情勢の緊迫で原油が上がり、米10年債利回りは10月9日時点で5.24%と高止まりしています(S&P500と米10年債5.24%の記事)。

金利が上がると、なぜ半導体のような成長株が特に売られやすいのか。株価は「将来の利益を、今の価値に割り引いたもの」と考えられます。割り引く率(割引率)が1%ポイント上がったときの影響を、簡単に計算してみます。

利益が入る時期割引率8%での今の価値割引率9%での今の価値目減り
2年後の利益10085.784.2−1.8%
10年後の利益10046.342.2−8.8%

同じ1%ポイントでも、遠い将来の利益ほど目減りが大きい(筆者の計算例)。AI・半導体株は「何年も先まで利益が伸び続ける」期待で買われてきたため、金利が高止まりすると割高感が出やすいのです。そこへ原油高でインフレが長引くとの見方が重なれば、利下げはさらに遠のきます。金利と原油の二重苦が、CXMTという材料の効き目を大きくしたと見るのが自然です。

67万円相場は終わったのか ── 価格帯と3つのシナリオ

日経平均は10月6日に70,798円の高値を付けたばかりです。9月14日の安値62,726円からの上昇幅は8,072円で、今日までの下げ(約3,020円)はその約37%を戻したところです。目安になる価格帯を並べてみます。

日経平均の注目価格帯70,79810/6 高値直近の上値の壁70,0007万円心理的な節目67,77810/13 終値67,777.52円67,05910/13 安値67,058.56円66,762半値押し上昇幅8,072円の半分66,67475日移動平均線10/13時点62,7269/14 安値上昇の起点帯=9/14安値→10/6高値の上昇幅(8,072円)
日経平均の注目価格帯70,79810/6 高値直近の上値の壁70,0007万円心理的な節目67,77810/13 終値67,777.52円67,05910/13 安値67,058.56円66,762半値押し上昇幅8,072円の半分66,67475日移動平均線10/13時点62,7269/14 安値上昇の起点帯=9/14安値→10/6高値の上昇幅(8,072円)
図2:日経平均の注目価格帯。高値・安値は株探、75日移動平均線は10月13日時点。半値押しは9/14安値と10/6高値の中間(筆者計算)
価格帯意味終値からの距離
70,798円10/6の高値。上値の壁の候補+3,020円(+4.46%)
70,000円心理的な節目+2,222円(+3.28%)
67,778円10/13の終値—
66,762円上昇幅の半値押し−1,016円(−1.50%)
66,674円75日移動平均線(10/13時点)−1,104円(−1.63%)
62,726円9/14の安値。今回の上昇の起点−5,052円(−7.45%)

注目したいのは、今日の安値67,058.56円が半値押し(66,762円)の約300円手前で止まったことです。半値押しと75日線はほぼ同じ水準に重なっていて、ここが下値の最初の目安になります。

強気・中立・弱気の3シナリオ

シナリオ条件想定される展開
強気米半導体株が反発、TSMC決算と設備投資見通しが堅調、米CPIが落ち着く7万円に再挑戦。70,798円の高値更新が次の焦点
中立金利は高止まり、AI関連株の調整が続く。半導体以外に買いが回る66,700〜69,000円程度でのもみ合い(標準シナリオ)
弱気半導体株安が広がり、原油・金利がさらに上昇66,700円(半値押し・75日線)を割り込み、下値を探る展開

筆者は中立シナリオを標準と考えます。今日の相場は、半導体株が売られても他の銘柄に資金が回る「循環」の動きで、日本株全体から資金が逃げたわけではないからです。一方で、7万円台に戻るには、主役だった半導体株の反発がどうしても必要です。日経平均は半導体株の比重が大きいため、「半導体株が戻らない限り7万円は遠い」という見方も同時に成り立ちます。

価格帯は分析のための目安です。将来の株価を予測・保証するものではなく、前提が変われば結果も変わります。投資の判断はご自身で行ってください。

7今後の注目イベント

日付イベント見どころ
10/13〜米大手銀行から企業決算シーズンが始まる半導体以外の業種にも利益の伸びが広がるか
10/14(水)米9月CPI(日本時間21:30)インフレが強ければ金利上昇 → 成長株に逆風
10/15(木)TSMC 7〜9月期決算AI半導体の需要と設備投資の見通し。製造装置株に直結
10/27〜28FOMC(結果は日本時間29日未明)利上げの有無と12月への示唆
10/28SKハイニックス決算メモリー価格とHBMの需要。CXMTへの見方
10/29〜30日銀金融政策決定会合利上げの有無と円相場
10/30キオクシアHD決算NAND価格と今後の見通し

とくに14日夜の米CPIと15日のTSMC決算は、今日売られた半導体株の行方を決める2連発です。TSMCが設備投資の見通しを引き上げれば、東京エレクトロンやアドバンテストには追い風になります。逆に慎重な見通しが出れば、「AI投資のピーク」を意識した売りが続きかねません(TSMCが最高益でも日経平均が下げた7月の記事)。

8長期投資家はどう動くべきか ── 業績と株価を切り分ける

指数が1,000円以上下げると不安になりますが、慌てて動く前に、次の4つを確認してみてください。

① 自分が持っているのは「日経平均」か「日本株全体」か

日経平均に連動する投資信託は、今日のように一部の半導体株が売られると大きく下がります。一方、TOPIX連動の投資信託は今日プラスでした。同じ「日本株」でも、どの指数に連動しているかで値動きはまったく違います。自分の商品がどちらなのか、一度確かめておくと安心です。

② 株価の下げと、業績の悪化を分ける

今日売られた半導体株の業績が、今日悪くなったわけではありません。売られたのは「将来の期待」です。判断材料になるのは、TSMCの設備投資計画や、10月下旬から本格化する各社の決算での受注と会社の見通しです。株価だけで判断せず、数字が出てから考えても遅くはありません。

③ 積立はルールどおりに続ける

毎月の積立投資なら、下がった月は多くの口数を買えます。下げた日に積立を止めるのは、安く買えるチャンスを自分で手放すことになりかねません。

④ 追加で買うなら、価格帯と金額を先に決める

まとまった資金で買い増すなら、「66,700円付近(半値押し・75日線)まで来たら一部」のように、価格帯と金額を事前に決めて分けて買うのが一つの方法です。今日のように日中で1,900円以上動く相場では、一度に全額を入れるとタイミングのずれが大きくなります。

9まとめ

  • ▸日経平均は1,253円安の67,777.52円。しかし東証プライムの約73%は値上がりし、TOPIXは小幅高。日本株全体の失速ではなく、AI・半導体の主力株に集中した調整だった。
  • ▸東京エレクトロン・ソフトバンクG・アドバンテスト・キオクシアHDの4銘柄で約1,274円の押し下げ。残り221銘柄は合計でプラス。
  • ▸きっかけはCXMTのメモリー技術の進展と米半導体株安。原油高と米金利の高止まりが、成長株の売りを大きくした。
  • ▸7万円相場が終わったと判断するのは早い。下値の目安は66,700円前後(半値押し・75日線)。ただし半導体株の高い成長期待が見直され始めた可能性には注意が必要。
  • ▸方向を見極める材料は、10/14の米CPIと10/15のTSMC決算。

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出典と注意

株探(10/13大引け・騰落銘柄数・4銘柄の寄与度合計・高値と安値・75日移動平均線)、みんかぶ、日本経済新聞、共同通信、Fisco(日経平均寄与度ランキング・大引け)、ウエルスアドバイザー、メディアIR(TOPIX)、日本証券新聞(CXMTの報道)の各情報。売買代金は東証プライム市場。寄与度・騰落銘柄数は媒体や集計時刻によって少し異なることがあります。キオクシアHDの寄与度、残り221銘柄の合計、NT倍率、半値押し、終値からの距離、割引率の計算例は筆者が計算したものです。シナリオと価格帯は分析のための目安で、将来の株価を予測・保証するものではありません。記載内容は2026年10月13日時点の情報に基づきます。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。

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この記事を書いた人

睦月六弦

ITエンジニア × 長期投資家

投資歴は約10年。FXや信用取引など短期売買での失敗を経て、現在は個別株とインデックス投資を中心に、長期保有を基本とした運用を続けています。本業のITエンジニアの仕事柄、数字やデータから「なぜそうなるのか」を考えるのが好きです。

「上がる・下がる」だけでなく、なぜ動いたのか、そのニュースが企業や投資にどうつながるのかを、決算・金利・為替などの数字や一次情報をもとに読み解いています。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。