GACKT発言で炎上した「NISA」をおさらい──2027年から何が変わる?次の改正で実現しそうなポイントを初心者向けに整理
「NISAの利益が生まれる構造を教えて」──ミュージシャンのGACKTさんが語ったインタビュー動画が9月下旬にXで拡散し、「NISAは投資商品じゃない」とツッコミが相次ぎました。この騒動をきっかけに、NISAの仕組みを基礎からおさらいしつつ、本題である「これからの改正」──すでに決まった変更と、実現が近づいている変更──を初心者向けに整理します。
この記事のポイント
- NISAは金融商品ではなく、利益にかかる約20%(20.315%)の税金をゼロにする「口座=箱」。利益を生むのは、箱に入れた株や投資信託のほう
- 決まった改正:2027年1月から、つみたて投資枠が0〜17歳にも拡大(年60万円・上限600万円)。債券中心の投資信託なども対象に加わる
- 要望中の改正:売って空いた枠を「その年のうちに」復活させる案と、ETFの対象拡大。採否は例年12月にまとまる税制改正大綱で判明する
騒動何が起きた?GACKT発言の「ズレ」と「一理ある部分」
発端は、2026年1月にYouTubeチャンネル「DROPOUT ドロップアウトした冒険者たち」で公開されたインタビュー動画です。GACKTさんは2025年12月発売の著書のプロモーションで出演し、仕事の大半がいまは投資だと語る中でNISAに話題が及びました。その一部が9月下旬にXへ投稿され、一気に拡散しています。
動画の中でGACKTさんは、なぜみんながNISAに投資するのか分からない、利益が生まれる仕組みを説明できないまま預けるのは思考停止だ、という趣旨の持論を展開。さらに「NISAの主要株」や「NISAに含まれる株の時価総額」といった表現で、NISAをひとつの投資パッケージのように語ったことが批判の的になりました。
仕組みNISAは「商品」ではなく「非課税の箱」
ふつうの証券口座(特定口座など)で株や投資信託を持つと、値上がり益や配当・分配金に20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。NISA口座の中で得た利益なら、これがゼロになります。NISAの正式名称が「少額投資非課税制度」なのはこのためです。
では、GACKTさんが問うた「利益が生まれる構造」は何かというと、答えは箱の中身にあります。株なら、企業が事業で稼いだ利益が配当として配られたり、利益の成長が株価に反映されたりすることがリターンの源泉です。投資信託(インデックスファンドなど)なら、その中に入っている数百〜数千社の株や債券のリターンの合計です。NISAはこの利益に「税金をかけない」というだけで、利益そのものを生み出す装置ではありません。
ルール2つの枠と「生涯1,800万円」
2024年に始まった今のNISA(いわゆる新NISA)には、性格の違う2つの枠があり、同じ年に両方を使えます。
- つみたて投資枠(年120万円):長期・積立・分散投資に向くとして金融庁の基準を満たした投資信託などに限定。インデックスファンドが中心です。
- 成長投資枠(年240万円):上場株式や投資信託など幅広く買えます。ただし生涯で成長投資枠に使えるのは1,200万円まで。
- 合計で年360万円、生涯で1,800万円まで。生涯枠は「買った金額(簿価)」で管理され、値上がりしても枠は減りません。非課税期間は無期限です。
ここで覚えておきたいのが、売却して空いた枠は「翌年」に復活するというルールです。たとえば生涯枠を使い切った人が100万円分を売っても、その100万円分の枠を使えるのは翌年から。実はこのルールが、次の改正の目玉になっています(後半で解説)。
試算非課税の効果はどれくらい?
「税金がかからない」効果は、運用期間が長いほど大きくなります。毎月3万円を積み立て、年4%で増えたと仮定して、課税口座とNISAの手取りを比べてみました。
30年後の評価額は約2,082万円で、そのうち運用益は約1,002万円。課税口座なら約203万円が税金として引かれますが、NISAならそのまま手元に残ります。10年では17万円だった差が、30年では203万円まで開くのは、運用益そのものが時間とともに雪だるま式に増えるからです。
※年4%はあくまで計算上の例です。実際のリターンは中身の商品や相場次第で、マイナスになる年もあります。
本題NISAはこれからどう変わる?改正ウォッチ
NISAのルールは、毎年12月に政府・与党がまとめる税制改正大綱で決まります。その前段として、金融庁が夏に「こう変えてほしい」という税制改正要望を出す──という流れです。つまり「要望」はまだ決定ではなく、大綱に盛り込まれて初めて実現に向かいます。
すでに決まった改正(令和8年度税制改正大綱・2025年12月)
- こども枠の新設:2027年1月から、つみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、0〜17歳も使えるように。年間60万円、非課税保有限度額600万円。12歳以降は、子どものための資金であることと子ども本人の同意を条件に、親などが払い出せます。18歳になると大人のNISAへ自動的に移行します。
- つみたて投資枠の商品拡充:対象となる株式指数を追加し、一定の地域の株式指数だけに連動する投資信託も対象に。さらに、指数に連動しない投資信託の条件が「主に株式に投資」から「主に株式又は公社債に投資」へ広がり、債券中心やバランス型の選択肢が増えます。リスクを抑えたい若い世代や高齢層の「最初の一歩」を想定した見直しです。
- 取り崩しをしやすく:つみたて投資枠で定期的に売却するサービスに限り、金融機関が手数料を取れるように。資産を運用しながら少しずつ使う「出口」のサービスを広げる狙いです。
- 面倒な手続きの廃止:口座開設から10年ごと(その後5年ごと)に金融機関が行っていた住所確認の仕組みを廃止。
※こども枠以外の見直しは項目ごとに施行時期が異なります。実際に使えるタイミングは利用中の金融機関の案内で確認してください。
要望中の改正(令和9年度税制改正要望・2026年8月)
金融庁は2026年8月、次の改正に向けて「NISAの利便性向上」を要望しました。柱は2つです。
- 売却枠の「当年中の復活」:いまは翌年にしか戻らない売却分の枠を、売ったその年のうちに使えるようにする案です(年間360万円の範囲内)。持っている投資信託を別の商品に入れ替える「スイッチング」がしやすくなります。
- つみたて投資枠のETF拡大:いまは、指定された指数に連動するもの以外のETF(上場投資信託)は要件が整っておらず対象外。ETF市場の整備が進んだことを受け、対象にするための要件づくりを求めています。
特に注目は「当年復活」です。年360万円を毎年使い切ると、2024年から最短5年=2029年に生涯枠1,800万円へ到達します。そこから先は「売らないと買えない」状態になるため、売った年に買い直せないと入れ替えのたびに1年待つことに。金融庁も、こうした人が出てくるのは2029年以降だとしたうえで、金融機関のシステム対応に時間がかかるため今年度中の改正が必要だと説明しています。なお、この項目は2025年の要望にも入っていた「継続要望」です。
このほか、NISAの外側の話ですが、金融商品どうしで損益を相殺できる範囲をデリバティブ取引や預貯金にまで広げる案や、国債に関する税制の検討も要望に並んでいます。
実現しそうなのはどれ?
| 項目 | 状態 | 時期 | 編集部の見立て |
|---|---|---|---|
| こども枠(0〜17歳) | 確定 | 2027年1月〜 | 決定済み。金融機関の受付開始時期を確認 |
| 債券中心の投信・指数の追加 | 確定 | 順次 | 決定済み。取扱商品は金融機関ごとに増える |
| 売却枠の当年復活 | 要望(2年連続) | 2026年12月の大綱で判断 | 中〜高:2029年という「期限」がはっきりしている |
| つみたて投資枠のETF拡大 | 要望 | 同上 | 中:要件づくりが中心で、実務的な改正 |
| 国債の税制(事項要望) | 検討段階 | 未定 | 低〜中:具体案はこれから |
※「見立て」は公表資料をもとにした編集部の見方で、実現を保証するものではありません。税収への影響や金融機関のシステム負担との兼ね合いで、見送り・修正される可能性もあります。
行動初心者がいま押さえておきたい3つのこと
- 改正を待たずに始めても不利にはならない:これまでの改正は使い勝手をよくする方向のものです。要望中の項目は確定ではないので、「決まってから始めよう」と待つ理由にはなりにくいでしょう。
- 本番は「中身選び」:GACKTさんの警鐘を正しく受け取るなら、ここです。たとえば全世界株のインデックスファンドなら「世界中の企業の利益成長」がリターンの源泉──と、自分の言葉で説明できる商品を選びましょう。
- 子育て世帯は2027年1月のこども枠をチェック:教育資金などを長期で準備したい家庭には新しい選択肢になります。12歳以降は条件付きで払い出せる点が、旧ジュニアNISAとの大きな違いです。
まとめ
NISAは「箱」で、成果を決めるのは「中身」。GACKTさんの発言は制度の理解にズレがあった一方、「中身を理解してから投資しよう」という点では多くの人の学び直しのきっかけになりました。そしてその箱は、2027年1月のこども枠を皮切りに、まだ使いやすくなっていく途中です。次の注目は、2026年12月の税制改正大綱に「当年復活」が入るかどうか。決まり次第、このシリーズで続報をお届けします。
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主な出典
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買や投資手法を推奨するものではありません。記載の制度内容は2026年9月29日時点の公表資料に基づき、要望段階の項目は今後の税制改正の議論によって変更・見送りとなる可能性があります。試算は仮定に基づく概算で、将来の運用成果を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
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本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

