
日本初の信託型円建てステーブルコイン
「JPYSC」——SBI×Startaleが描く"デジタル円"の全貌
(4〜6月)
(特定信託受益権)
100万円上限なし
発表の背景——「ステーブルコイン元年」2026年の号砲
世界のステーブルコイン市場は2025年10月時点で発行残高2,800億ドルに達しており、そのうちTether(USDT)が約6割、Circle(USDC)が約2割を占め、圧倒的な米ドル偏重が続いている。法定通貨建てステーブルコインの国際競争が激しさを増す中、日本は2022年6月に改正資金決済法を公布・2023年6月に施行し、ステーブルコインに関する包括的な法規制を世界に先駆けて整備した。
一方で国内での実用化は遅れていた。2022年に日本円連動ステーブルコイン「JPYC」が登場しているが、これは資金移動業者が発行する「1号電子決済手段」であり、1回あたり100万円という送金上限が課されているため、大規模な法人間決済やクロスボーダー取引には使いにくい構造的課題があった。JPYSCはその課題を根本から解決する設計として登場した。
SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は「あらゆる現実資産がトークン化され決済手段として社会に浸透する『トークン・エコノミー』への移行は、もはや不可逆的な潮流。JPYSCを国内外に流通させることで、伝統的金融と完全に統合されたデジタル金融サービスを劇的に加速させる」とコメントしている。
JPYSCの仕組み——「信託型」が生む圧倒的な安全性と柔軟性
JPYSCは改正資金決済法第2条第5項第3号に定める「3号電子決済手段(特定信託受益権)」として発行される。発行体はSBI新生銀行の子会社である新生信託銀行。ユーザーが円を預けると、同額の信託受益権がブロックチェーン上のトークンとして発行される仕組みだ。信託財産(預かった円)は要求払預金として全額管理されるため、元本が保全される。
3号電子決済手段の最大の特徴は、1号・2号にある「1回あたり100万円の送金上限(滞留規制)」が適用されない点だ。これにより、数億〜数十億円規模の法人間決済、証券決済、クロスボーダー取引にも対応できる。さらに、2025年改正資金決済法(2025年6月13日公布)により、信託財産の一部を短期国債や中途解約可能な定期預金などで運用することも一定条件下で認められるようになった(発行総額の50%まで)。
| 比較項目 | 1号電子決済手段 (JPYC等) | 2号電子決済手段 | 3号電子決済手段 ✦ JPYSC |
|---|---|---|---|
| 発行者 | 銀行・資金移動業者等 | 1号と交換可能な事業者 | 信託会社(新生信託銀行) |
| 裏付け資産 | 発行者の債務 | 1号との交換性 | 金銭信託受益権(要求払預金) |
| 送金上限 | 100万円/回 | 同左 | ✓ 上限なし |
| 滞留規制 | ✗ あり(100万円) | ✗ あり | ✓ なし |
| 法人大口決済 | ✗ 対応困難 | △ 制限あり | ✓ 対応可 |
| クロスボーダー取引 | △ 上限が障壁 | △ 同左 | ✓ 柔軟に対応 |
関係プレーヤーの役割分担——金融×ブロックチェーン×流通の三位一体
JPYSCプロジェクトには4つの主体が役割を分担して参画している。
- 運用資産残高11兆円超・6,500万人超の顧客基盤を保有する国内最大級の総合金融グループ
- 証券・銀行・保険・暗号資産を横断したインターネット金融エコシステムを形成
- 1999年設立以来、グループ各社との連携でJPYSCの普及インフラを担う
- XRP関連の証券トークン債発行など、デジタル資産分野で先進的な取り組みを推進
- 「世界をオンチェーン化することで次の文明を創る」をミッションとする日本発グローバルWeb3企業
- ソニーグループとの合弁Sony Block Solutions Labsを通じてL2チェーン「Soneium(ソニューム)」を共同開発
- Astar Networkの開発実績を持ち、2025年12月にはSoneium上で米ドル建てステーブルコインをローンチ済み
- JPYSCのスマートコントラクト・ブロックチェーン基盤の設計・実装を一手に担う
(SBI新生銀行子会社)
- JPYSCを「3号電子決済手段(特定信託受益権)」として法的に発行する唯一の主体
- 預かった円を要求払預金として全額管理し、元本保全を担保
- 改正資金決済法に基づく規制当局(金融庁)への登録・承認取得を主導
- SBIグループの暗号資産取引所として法人・個人顧客向けにJPYSCを販売・流通させる
- 既存の暗号資産・電子決済手段取引業のライセンスを活用し、規制準拠の流通網を整備
- 国内の主要金融機関・企業向けへの法人営業窓口も担当予定
ここに至るまでの経緯——2025年8月からの怒涛の展開
JPYSCが狙うユースケース——法人決済からAIエージェントまで
JPYSCは個人の日常決済よりも、まず法人間・機関投資家向けの大規模利用を主戦場として想定している。渡辺創太CEO(Startale)は「AIエージェント間の決済やトークン化資産の分配領域に大きな可能性がある」と明言しており、近未来の金融インフラを見据えた設計思想が鮮明だ。
キーパーソンのコメント——両社トップが描く未来像
「あらゆる現実資産がトークン化され決済手段として社会に浸透する『トークン・エコノミー』への移行は、もはや不可逆的な潮流。JPYSCを国内外に流通させることで、伝統的金融と完全に統合されたデジタル金融サービスを劇的に加速させる」
北尾吉孝 / SBIホールディングス 代表取締役会長兼社長
「我々のミッションは世界をオンチェーンに導くことで次の文明を構築すること。円建てステーブルコインはオンチェーン化された世界の中心的な役割を担う。特にAIエージェント間の決済やトークン化資産の分配領域に大きな可能性がある」
渡辺創太 / Startale Group CEO
市場インパクトと競争環境——「ステーブルコイン元年2026年」の射程
JPYSCの登場は、日本のデジタル金融インフラを巡る競争に大きな一石を投じる。先行する「JPYC」(1号型、資金移動業者発行)との最大の差別化は100万円上限の有無であり、ターゲット顧客層がほぼ重ならない。三菱UFJ・三井住友・みずほなどメガバンク3行がステーブルコインやトークン化預金を使った株式・債券決済の検討を進める中、SBI×Startaleがいち早く「信託型3号」として市場参入することで、規制準拠の法人向けデジタル円市場で先行優位を確立できるかが注目点だ。
また、米国でも2025年7月にGENIUS法(ステーブルコイン規制法)が成立し、EUはMiCAを2024年6月に施行するなど、国際的な規制整備が急速に進んでいる。日本はすでに法制度を先行整備していながら実用化が遅れていたため、JPYSCのローンチは「規制先進国・日本」の国際的な信頼性向上にも寄与すると見られる。片山財務相も証券決済へのステーブルコイン活用を公式に支援すると表明しており、官民の方向が揃いつつある。
注目すべきリスクと課題
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 🏛 規制当局承認の不確実性 | ローンチは「規制・制度への対応体制の整備を前提」と明記されており、金融庁の承認が得られなければ4〜6月のスケジュールは延期される。日本の金融規制は厳格であり、パーミッションレス型パブリックチェーンの採用可否も含め審査の行方が焦点。 |
| ⛓ ブロックチェーン選定の不透明さ | JPYSCがどのパブリックチェーン上で発行されるか(Soneium・Astar Network・別チェーン等)はまだ明らかにされていない。チェーン選択はガス代・スケーラビリティ・相互運用性に直結し、法人導入の障壁を左右する重要要素。 |
| 🏦 メガバンク勢の動向 | 三菱UFJら3メガバンクはトークン化預金(DCJPY構想等)の実証を進めており、ステーブルコイン vs. トークン化預金の覇権争いが今後本格化する可能性がある。銀行主導型が政策的に優遇される場面も想定し得る。 |
| 🌐 国際的相互運用性 | クロスボーダー利用を目指す上で、海外の主要ステーブルコイン(USDT・USDC)や外国の決済インフラとのブリッジ機能が必須。技術的・規制的なインターオペラビリティの確保は中長期的な課題。 |
| 📣 普及促進の課題 | 法人ユーザーにとってステーブルコイン決済への移行は既存の銀行振込・EFT等からの乗り換えコストを伴う。「なぜ今の方法ではダメなのか」という明確なベネフィット訴求と、会計・法務対応の整備が普及の鍵を握る。 |
まとめ——「日本初」が意味する本当の重要性
JPYSCは単なる「新しい決済手段」の誕生ではない。日本円をブロックチェーン上でプログラマブルに動かすことで、①リアルタイムの大口法人決済、②オンチェーンRWA市場のインフラ、③AIエージェントが自律的に経済行動するための通貨基盤、という三つの巨大な可能性を一つのトークンに集約しようとする試みだ。
法的には「日本初の信託型3号電子決済手段」、技術的には「Web3グレードのブロックチェーン上に発行される円建て安定資産」、ビジネス的には「SBIグループ6,500万人超の顧客基盤を流通チャネルにした法人向け金融インフラ」という三つの顔を持つJPYSCが、規制当局の承認を経て2026年度第1四半期に世に出ることになれば、日本のデジタル金融史上で記念碑的な出来事として記録されることになるだろう。
一方で、ローンチまでの規制対応・チェーン選定・法人向けオンボーディングなど課題も残る。引き続き、金融庁からの正式承認の動向と、SBI側が明らかにするブロックチェーン基盤の詳細に注目したい。
次回は「JPYSCが実現したら何が変わるのか?」として、メガバンクのトークン化預金構想・JPYC(1号型)との違い・国際的なステーブルコイン競争との比較を深掘り予定。また、SBI株(8473)・暗号資産関連銘柄への投資家目線での影響も考察します。
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<ツイッターの反応>
渡辺創太 @スターテイル
@SotaOnchainSBIホールディングスとStartale Group、日本初の信託型 日本円建てステーブルコイン「JPYSC」を発表 グローバル・オンチェーン経済の日本円ステーブルコインのデファクトを作りに行きます。 startale.com/ja/blog/jpysc
1日分のなにか@5年後にFIREする
@1_Nichi_NanikaSBIホールディングスとStartale Group、日本初の信託型 日本円建てステーブルコイン「JPYSC」を発表 …仮想通貨関連、もう一度勉強しようかと思う今日この頃です🤣 sbigroup.co.jp/news/2026/0227…
北尾吉孝
@yoshitaka_kitaoSBIホールディングスとStartale Group、日本初の信託型日本円建てステーブルコイン「JPYSC」を発表[SBIホールディングス] sbigroup.co.jp/news/2026/0227…















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